007 裏~Search

ネクリア:ヒイカー?どこー?

ヤズネ:どこにもいないでやすね。

ウミナギ:アルトアァ、何か感じるかァァ?

アルトア:いや、ここらではないようだ。

ウミナギ:あのガキもいねェしよォ。

ネクリア:どこにいるのかしら…

   ネクリアたちは、あまりにもヒイカたちの帰りが遅い為、捜していたのだった。

ウミナギ:アルトアァ、感じたらいつでも言えよォォ?

アルトア:わかっている。

ハリイノギョ:アルトアはんの範囲ってどのくらいなんや?

アルトア:結構狭いものでな、それなりに近づかないと意味がない。

ハリイノギョ:そうなんか…

ジャング:ミョンガー、ヤズネ、何か聞こえないか?

ミョンガー:ん~、僕は特に何も~?

ヤズネ:わちきもでやす。

ネクリア:どこにいるのよ…

ペライト:ダレカツイテイクベキダッタナ。

ソルト&シュガー:そうだねー。

ジャング:よし、また手分けして捜そう。絶対に二人以上で捜すんだぞ!

ハリイノギョ:はいな!

   どこか

ヒイカ:(…冷たい…何?)

   ヒイカはどこかで目が覚めたが、目隠しをされていてどこかわからなかった。

ヒイカ:んー(口も塞がれて喋れないわね…。にしても、冷気?寒い…)

   ヒイカは技を使おうとした。

ヒイカ:(『虹色の花束!』…って、体に全然力が入らないからできるわけないわね…。どうしよう?)

   ゴーッ

ヒイカ:(この音…何の機械?いや、この冷気、この音…まさか、冷蔵室!?だとしたらまずい!このままじゃ…寒さでやられる!)

   ヒイカはじたばたしたが、気力を奪われていてまともに動けなかった。

ヒイカ:(自力で抜け出すことは不可能に近い…はぁ、ネクリアたちに任せるしかないわね…)

   ネクリア側

ネクリア:ヒイカー!どこなのよー!

フバクノソラワ:いませんね~、もしかしたら犯人に殺されちゃってたりして~?

ネクリア:縁起でもないこと言ってんじゃないわよ!

フバクノソラワ:は、はいっ!

ネクリア:(でも、どこにいるのよ…ヒイカ!)

?:うわあああーーーーっ!!

   どこからか悲鳴が聞こえた。

ネクリア:何!?

ソルト&シュガー:あっちから聞こえました!

   ネクリアは悲鳴の聞こえた場所へと走った。

フバクノソラワ:あ!待ってくださいよーっ!

   屋敷の入口まで出てきた。

ネクリア:執事!

   悲鳴をあげたのは、執事だった。

ジャング:どうしたんだ?

執事:よくわからない…変な生き物が襲いかかって来たんです!

ネクリア:ヒイカは!?あんた、ヒイカはどこよ!?

執事:ヒイカさんは、その生き物を追って行きました…

ヤズネ:どっちでやす?

執事:あちらです!

   執事はデタラメな方向を指差した。

ネクリア:あっちね!行くわよ!

ジャング:ああ!

   ネクリアたちは走って行ってしまった。

執事:…フッ。(馬鹿め、せいぜい捜しまわるがいい。さてと、この間にお嬢様を移動させなくてはな。)

   執事は自分の部屋へ行き、クローゼットからトレアお嬢様を連れ出し、車のトランクに入れた。

トレア:ん~ん~!

執事:大丈夫ですよ、お嬢様。怖くありませんよ。

   バン

   執事はトランクを閉め、運転席に乗った。

執事:フフッ。

?:何がおかしいんだよ?

執事:!?

   執事が後部座席を見ると、男の子が乗っていた。

執事:い、いつの間に!?

男の子:ひつじさんが犯人だったんだね。お嬢様をよくも…!

執事:いや、いやいや、何かを勘違いしているみたいだね!私はお嬢様を見つけたから、安全な場所へ移動させようと…

男の子:だったら、なんでお嬢様を縛ってるの?

執事:そ、それは…

男の子:ひつじさんにはがっかりだよ…お嬢様を守ってくれるって信じてたのに!

執事:くっ!(こうなったら…)

   執事は縄を取り出した。

執事:大人しくしてもらいますよ。

男の子:う、うぅっ…許さない!わーっ!

   男の子は執事に飛びついた。

執事:こら!大人しくしなさい!

男の子:わーっ!

   男の子は執事の頭を叩きまくった。

執事:この…いい加減にしろ!

   ゴッ

   執事は男の子の頭を殴った。

男の子:うっ…

執事:痛い思いをしたくなければ、大人しくしろ!

男の子:うぅ、わぁぁぁぁー!!

   男の子はクラクションを足で蹴った。

   ビィーーーーーーーーーーーーーーー

執事:やめろ!

   執事は男の子を押し飛ばした。

執事:(まずい、大きな音で誰か来る前に移動しなくては!)

   執事は車のエンジンをかけた。

執事:(だが、その前に…)

   ガチャッ

   執事は車のドアを開け、男の子を外に向かって投げた。

男の子:うわぁぁ!

執事:フッ。

   バン

   執事は車のドアを閉め、車を発進させた。

男の子:お…嬢さ…ま…

フバクノソラワ:(う~ん、ネクリア様たち走って行っちゃったし、外に出たっぽかったよなぁ~。僕は早く走れないって知ってるはずなのにひどいなぁ。)

男の子:はぁ…はぁ…

フバクノソラワ:え!?(あれは、さっきの男の子!?でも、なんで怪我してるの~!?)

   フバクノソラワは男の子に近づいた。

フバクノソラワ:ど、どうしたの~?

男の子:あ、お、お嬢様を…助けて…!お嬢様が…お嬢様がぁぁっ!

フバクノソラワ:ちょ、ちょっと待って~!ネクリア様を呼んでくるからねっ!

   フバクノソラワはよちよちと歩いてネクリアたちを捜しにいった。

   そして数十分後

ウミナギ:ガキ!!大丈夫かァァ!?

   ウミナギは男の子に駆け寄った。

男の子:お嬢様…助けて…お嬢様を…

ネクリア:お嬢様なら私たちも捜しているわよ、でもまずはヒイカを…

ジャング:それより、あの執事はどこに行ったんだ?

男の子:ひつじ…敵…お嬢様が…あぶな…

   男の子は気を失ってしまった。

ネクリア:ちょっと!しっかりしなさい!

ヤズネ:んおお?これは…

   ヤズネは男の子が手に握っていた機械をとった。

ペライト:アレ?ヒトツシカナイ?ソレッテタシカ、フタツアッタハズ…

ノット:片方、無くなっても、探せる。

ヤズネ:そういえばそんなこと言ってたでやすね。もう片方はどこに行ったんでやすかね?

   ピッ

   ヤズネはボタンを押した。

   ヴィーン

   機械の画面に地図が表示され、地図内に移動する赤い点があった。

ウミナギ:なんだァァ?

ヤズネ:…執事が敵、片方を探知…まさか!

アルトア:この赤い点がもう片方で、執事はお嬢様を連れて逃げてるということか!?

ネクリア:なんですって!?

ジャング:このスピード、車か何かだな。

ソルト&シュガー:ってことは、車の中にその片方を入れて、その時に執事と争いになったってとこかなー。

ハリイノギョ:せやったら早く追わな!

ジャング:そうだな!探知が範囲外に行ってしまったらおしまいだ!

ネクリア:ま、待って!

ジャング:どうした?

ネクリア:ヒイカは…?ヒイカはどこなの!?お嬢様を連れているのが執事だったら、ヒイカはどこに行ったの!?

ヤズネ:たしかに、虹使いはどこに…

ジャング:…こいつがここで倒れていて、執事がお嬢様を連れて逃げた。ということは、お嬢様は屋敷内にいたということだ。つまり…

ネクリア:ヒイカは屋敷内のどこかに閉じ込められている!?

ジャング:可能性は高いな。

ネクリア:ヒイカ…!

   ネクリアは屋敷に戻ろうとした。

ジャング:待て!

ネクリア:何よ!

ジャング:たしかにヒイカを捜すのも大切だが、今はお嬢様を救うべきじゃないのか?

ネクリア:でも、ヒイカはどんな目にあっているか…

ウミナギ:だったらよゥ、こうしようぜェ。ヒイカを捜す組と、お嬢様を取り返す組に分かれて行動すんだよォ。

ミョンガー:いいね~!

ネクリア:じゃあ私はヒイカを捜すわ!

ジャング:俺は執事を追う。他の奴も早く決めろ。

ヤズネ:わちきも虹使いを捜したい…けど、虹使いならきっとお嬢様を優先させろって言うから、わちきはお嬢様を助けるでやす!

ミョンガー:じゃあ、同じ力ある僕はネクリアと一緒に捜そうかな~。

   捜索組→ネクリア、ミョンガー、ハリイノギョ、フバクノソラワ、ソルト&シュガー

   追跡組→ジャング、ヤズネ、ウミナギ、三憑

   捜索組

ネクリア:とりあえず、手分けして屋敷内をくまなく捜しましょう!

ミョンガー:でもさっきも捜したよ~?

ネクリア:もっともっと!ボタン押したら隠し扉ありましたーってくらい細かくよ!

ハリイノギョ:ネクリアはん、ちょっと落ち着きなはれ。気持ちはわかるけど、取り乱してどないすんねん。

ネクリア:…そうね、ごめん。

ハリイノギョ:よし!捜すでー!

ソルト&シュガー:じゃあ僕たちはあっち捜しますー。

フバクノソラワ:僕はこっちかな~っ?

ミョンガー:僕はこっち行くよ~。

ハリイノギョ:わいはこっち捜すさかい、ネクリアはんはそっち任せたで。

ネクリア:ええ!

   追跡組

ウミナギ:おいジャングゥゥ、このまま走ってたって追いつけねェぞォォ?

ジャング:いや、車は何故か人も通らないような山へ入った。だからそろそろ…

   赤い点は山の中で止まった。

ヤズネ:止まったでやす!

ジャング:ほらな。そこまで行けばすぐにでもお嬢様を救い出す!

ウミナギ:おゥ!

   そして、三人と三憑は探知した場所にたどり着いた。

ウミナギ:小屋があるなァァ。

ジャング:きっとそこだろう。戦闘態勢をとっておけ。

ヤズネ:先発は任せろでやす。最初はわちきがあの執事の目を見えなくしてやるでやすよ!

ジャング:よし、突入だ!

   小屋内

トレア:ん~ん~っ!

執事:大丈夫ですよ、お嬢様。すぐに…楽にして差し上げますからね。す、ぐ、に…

トレア:ん!?ん~?

   バン

   扉が大きく音を立てて開いた。

ヤズネ:やい執事!そこまででやすよ!

   しかし、そこには倒れた執事しかいなかった。

ジャング:どういうことだ?お嬢様は!?

アルトア:感じる…天井だ!

ウミナギ:天井ゥ?

   ウミナギが上を見ると、天井からお嬢様が見ていた。

ウミナギ:いた!

トレア:…フッ。

   ザシュッ

   トレアお嬢様は天井から降り、長くのびた爪でウミナギを斬り裂いた。

ウミナギ:がぁッ!?

ペライト:ウミナギ!!

ヤズネ:こいつめっ!

ジャング:待て!様子が変だ!

トレア:フフッ。ついに手に入れたぞ…トライフェーン一の力を持つ、トレア・トライフェーンの体を!

ヤズネ:どういうことでやす?

ジャング:これは…?まさか!

ウミナギ:あァ、執事は犯人なんかじゃねェ!本当の犯人は、憑き物だ!

アルトア:しかも、俺らのようなただ憑く憑き物じゃなく、体の持ち主の意識をも奪う強力な憑き物だ!

トレア:フフッ。

回想~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   昨日の午後

執事:お嬢様~、紅茶をお持ちしました。

トレア:ありがとう。そこに置いて。

   執事は机の上に紅茶を置いた。

執事:トレアお嬢様、本日の夕食は市民のデパートから取り寄せた、焼きそばという麺類の食べ物です。

トレア:そう、それは楽しみね。

執事:しかし、お嬢様のお口に合うかどうか…

トレア:口に合うかどうかが問題じゃないのよ。市民とも関わりを持ち、上に立つ者として市民の食べ物や文化を知っておく必要があるの。

執事:お嬢様…ご立派にございます!

トレア:うふふ。あなたもいつもお世話してくれてありがとうね。感謝しているわ。

執事:いえいえ!これは私の役目!当然の事にございます!私、この生涯お嬢様にお仕えすると心に決めております!

トレア:大げさよ。

執事:大袈裟ではございません。

??:フフッ。

執事:むっ!?(何か声が?)

   すぅー

   黒い塊がお嬢様目掛けて飛んできた。

執事:お嬢様!お逃げください!

トレア:あっ!

   ずぅ…

   執事はトレアお嬢様の盾になり、黒い塊は執事の体に入って行った。

トレア:…だいじょう…ぶ?

執事:…フッ。大丈夫ですよ。お嬢様。

トレア:そう?本当に?

執事:ええ、それとお嬢様、少し目を瞑っていてもらえますか?

トレア:え?どうして?

執事:お願いします。

トレア:…

   トレアお嬢様は目を閉じた。

執事:フッ。

   執事は縄を取り出し、トレアお嬢様を縛った。

トレア:な、何をするの!?

執事:この執事の邪魔さえなければ、俺はあんたの体に入ってたんだ。由緒正しきトライフェーン家の末裔、トレア・トライフェーン!

トレア:あなた…一体…?

執事:歴代のトライフェーン家で一番強力な力を持って生まれたトレア・トライフェーン、お前の体に入り、俺はその強力な力で世界を支配する!

トレア:そん…な…

   トレアお嬢様は気力を奪われ、気を失ってしまった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

トレア:俺自身の力は小さい。1度憑いてしまえば1日は憑く力を使えない。だからこそ、この執事の能力を使い、憑く力が復活するまで待ったんだ。

ジャング:だったら、屋敷の中で憑けばよかったんじゃないか?

トレア:俺だってそうしたかったさ。だが、お前たちが邪魔だったのだ。だからこそここまで来たというのに、お前たちは再び俺の邪魔をしに来た!

ジャング:当然だ。お嬢様を救う事が今の俺たちの使命だ。

トレア:フフッ。残念だがそれは不可能だな。なぜなら、既にこの強力な力は俺のものになったからだ!

ヤズネ:強力な力…ねぇ、わちきが狂わせてやってもいいけど?

ウミナギ:おい待て、てめェの力は軽く聞いたが、それじゃお嬢様も狂わせるんじゃあねェのか?

ヤズネ:うあー、まぁそうでやすけど…

アルトア:つまりこれは、お嬢様を傷つけず、あの憑きものを追い出さないといけないってことか。

ウミナギ:ちッ、めんどくせェ!

トレア:フフッ。丁度いい、この力をお前たちで試してやろう!かかってこい!

ヤズネ:でも、傷つけずにって…どうすればいいんでやすか?

ジャング:…わからん。

ヤズネ:えぇ!?

トレア:来ないのなら、こちらから行くぞ!

ペライト:クルゾ!

執事:させません!

   ガシッ

   執事はトレアお嬢様を後ろから抑えつけた。

ジャング:執事!

執事:覚えています!本当にあなたがたには申し訳ないことをした。そんな方にお願い事など厚かましいですが…でも、お嬢様を助けたいんです!お願いします!助けてください!!

ウミナギ:へッ、言われなくてもそうするってんだよォ!

アルトア:だが、どうする?下手に攻撃はできないぞ?

執事:気を付けてください!トレアお嬢様の能力は、「再現」です!

ジャング:再現?

執事:トレアお嬢様は、一度見た技なら全て自分が使うことができるのです!

ウミナギ:なんだとォ!?

ジャング:厄介な能力だな…

トレア:おいお前、いつまで抑えているつもりだ?

執事:お嬢様の体から出ていくまでだ!

トレア:フッ。この体の持ち主の能力を知っているだろう?はっ!

   ぶわっ

   トレアお嬢様から強烈な風が吹き、執事は吹き飛ばされてしまった。

執事:ぐっ…

トレア:さぁ、早く攻撃してこい!それが力となるのだ!

ジャング:能力が再現とわかっていて攻撃などするはずがないだろう?

トレア:強情なやつめ。だがまぁいい、今までこいつが見てきた記憶の中から、強力な技を取り出そう。

執事:やめ…ろぉぉ!

トレア:おぉ、いい技が見つかった。『アクアニードル!』

   ビュンビュン

   水の針が大量にジャングたちに襲いかかった。

ジャング:(数が多い…だが、技で防げば相手が自分のモノとしてしまう!どうすればいい!?)

?:だったら、相手がマネる前に倒せばいいのよ。

??:その憑き物…私が完全に消し去ってあげるわ。

?:『金の鳥飛翔!』

??:『虹色の花束!』

   大量の金の鳥と虹色の花弁が、水の針を撃ち消した。

トレア:お前!助かったのか!?

ヒイカ:ええ、よくもあんなことしてくれたわね~?

ヤズネ:虹使い!

ネクリア:さぁ、さっさとそこから出て行ってもらうわよ!

ジャング:ネクリア!




                                     続く
 

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2011‎年‎3‎月‎29‎日作成