港町
アルトア:まぁなんだかんだあったが、全員そろったな。
ミョンガー:だね~。
ネクリア:あら?私の手下はまだまだいるわよ?
ヒイカ:あんたどんだけ従えてんのよ。
ネクリア:大量よ。
ジャング:…
ハリイノギョ:どないしたん?
ジャング:いや、あの銃殺少女について考えていたんだ。
ヒイカ:…そういえばネクリア、あんたどこであいつの名前知ったの?
ネクリア:手下から回ってきた情報よ。色々な所に手を出せる奴がいてね、そいつが教えてくれたのよ。
ヒイカ:ふぅん…。さて、いつまでもここに留まっておく必要はないわね。ネクリア、手下の管理はきちんとしなさいよ?
ネクリア:はいはい。
ヒイカ:はいは1回、2回は赤ちゃん。
ネクリア:…
ヒイカ:何よ。
ネクリア:あなた成長したわね。嫌味も身長も。
ヒイカ:嫌味は余計よ。
ネクリア:まぁ…
チラッ
ネクリア:まだ女を武器には出来なそうねぇ♪
ヒイカ:どういう意味よ?
ネクリア:気付かないなら別にいいのよ~。
ヒイカ:まぁいいわ、それじゃあね。
ネクリア:あら、どこ行くの?
ヒイカ:私はあんたにそいつらを届けようとしてただけ。あんたに会えればもう関係ないわ。
ネクリア:寂しい事言うのねぇ。久々に会ったってのにもうお別れなんて寂しいじゃない。
ヒイカ:別に寂しくなんかないくせに。
ネクリア:寂しいわよ?だって、やっとで会えたんだもの。最後にあったのは、あの場所だったわね。
ヒイカ:(私たちが支配したあの国…)
ネクリア:ねぇヒイカ、また一緒に支配しようなんて言ってないわ。ただ、また一緒に旅しない?
ヒイカ:悪いけど、断らせてもらうわ。
ネクリア:どうして?
ヒイカ:あなたはもう関係ない。もう二度と関わらないことね。
ウミナギ:おいてめェェ!
ネクリア:やめなさいウミナギ。
ヒイカは冷めた目でその場を離れていった。
ウミナギ:おいネクリアァァ!いいのかよォォ!?
ネクリア:ほーんと、困った娘だわ…
海岸沿い
ヒイカ:(…ネクリア、怒ったかな?そりゃそうよね。でも、これ以上巻き込むわけにはいかない。)
ヤズネ:なーんでわちきまで置いていくんでやすか~?
ヤズネがふよふよとついてきた。
ヒイカ:別に…あんたもあっちがよかったらあっちでいいのよ?というより、私はその方が助かるわね。
ヤズネ:へぇ…誰かがいたら銃殺少女と本気で戦えないから?
ヒイカ:…そうよ、足手まといなのよ。邪魔なの。それとも何?死んでもいいって言うのなら別にいいわよ?
ヤズネ:ふふん。丸見えでやすよ、虹使い。
ヒイカ:?
ヤズネ:足手まといっていうのは間違いないけど、どちらかと言うと迷惑かけたくないんでしょ?お前のことはよーくわかってるつもりでやす。だってお前、ホントは優しいから。
ヒイカ:話飛びすぎ美化しすぎ。
ヤズネ:そうでもないでやすよ。だって、お前が情けをかけてくれたから、わちきはこうして生きてるんでやすから。
ヒイカ:敵に情けをかけるようなマネはしないわ。
ヤズネ:ということは、わちきの事は敵だと思ってなかったってことでやすね。
ヒイカ:随分勝手な解釈ね。
ヤズネ:ほんとのことでしょ?
ヒイカ:ふん、勝手にしなさい。
ヤズネ:もちろん勝手についていくでやすよ~。
ヒイカ:それじゃあ…出てきなさい、いい加減決着つけましょう?エール・ラヴァル。
エール:何でそうも毎回気づくかな~?
物陰からエールが現れた。
ヒイカ:もうあなたと会うのはこれで3回目。いい加減気配で気づけるわ。
エール:へぇ~、そうなんだぁ。
ヒイカ:それで?そろそろ消されてもいい覚悟が出来たってこと?
エール:違う違う。あなたを殺せる準備が出来たってこと♪
ヒイカ:仕方ないわね…先に忠告してあげる。虹の力って知ってる?虹の子でも虹使いでもいいから。
エール:虹?んー…知らないわー。
ヒイカ:そう、それじゃあ教える必要もないわね。知っていたら助かったかもしれないのにね。
ヤズネ:今日は虹使いだけじゃないでやすからねー。わちきも…本気出しちゃおうかな?
エール:楽しそう…すっごく、楽しめそう♪
ヒイカ:その気持ちを、絶望に変えてあげるわ。
エールは銃を構え、ヒイカとヤズネも集中力を研ぎ澄ました。
ぐいっ
エール:え?
エールは銃を後ろに引っ張られた。
謎の女:やめなさい。これ以上この場を穢すことは許さない。
ヒイカ:(あれは…あの時の…)
数日前にヒイカたちの前に現れた、黒く長い髪の少女がいた。
エール:誰あなた?邪魔しないでほしーなぁ。
謎の女:あなたこそ、邪魔をしないでもらいたいわね。あの町だって、元々は綺麗な町だったのに、あなたが穢した。
エール:別にいいでしょ?あなたには関係ないんだからぁ。
謎の女:関係なくないわ。これ以上ここを穢されるのは困るの。これ以上この空気を穢すのは許さない。
エール:うるさいわね!もうあなたごと殺しちゃうから、覚悟してね♪
ヒイカ:そこの。邪魔だからどきなさい。心配しなくても、そいつは今から私が消す。
謎の女:それもダメ。誰が消えることも許さない。
ヒイカ:あーもう何なのよ!場を掻き乱して何がしたいのよ!?
謎の女:掻き乱したいわけじゃない。争いをやめてほしいだけ。
ヒイカ:だったらそいつを説得させなさいよ。私はそっちが喧嘩売ってきてるから買ってるだけよ。
エール:説得なんて無意味だよ?私はもうターゲットロックオンしてるのぉ♪
ヤズネ:わかったわかった。怪我しないように戦闘を終わらせればいいんでやすね?
謎の女:怪我をしない?違う、穢さないように。
ヤズネ:一緒でやすよ。つまり…あいつが狂っちゃえば戦闘そのものがなくなるよね?
ヤズネは目つきが変わった。
謎の女:(この鳥…何者?)
ヤズネ:さーて、狂ってもらうよ。
ヒイカ:(ま、止める理由もないわね。)
ヤズネ:ボイs…
バン
ヤズネは羽を撃たれた。
ヤズネ:ぃたっ!
ヤズネは落下した。
ヒイカ:こいつ!
エール:黙って喰らうわけにはいかないものー。それに、ここにいる全員撃ち殺したくってたまらないのぉ♪
謎の女:…un,deux,trois
少女の言葉に反応するかのように、少女の周りに剣が1つずつ出現した。
謎の女:quatre,cinq,six,sept.
ヤズネ:これは…?
ヒイカ:(数を数えてる?)
少女の周りには、計7つの剣が出現した。
エール:これ何ぃ?私と同じ魔法?そっちは剣なんだぁ。すごぉい♪
謎の女:Attaque-le.
7つの剣は、一斉にエールに向かって飛んでいった。
エール:くすっ。いいねぇ♪
バンバンバンバンバン
エールは次々と剣を撃ち落としていった。
バン
エール:あと1つー!
バン
エール:おしまい♪
謎の女:…
ヒュン
撃ち落とされた7つ剣は、再び空中に浮かびあがった。
謎の女:その剣はもう私が指示しているわけじゃない。粉々になるまで追い続ける。
エール:へぇ…おもしろぉい♪
バンバンバンバンバンバンバンバン
ヒイカ:ところであんた、穢したくないって割には危ない攻撃ね。
謎の女:あれは当たっても穢れないわ。刺さっても血すら出ない。
ヒイカ:どういうこと?
謎の女:見ていればわかるわ。
バンバンバンバンバンバン
ヒイカ:(撃ち落としてもすぐにまた動きだす…本当に粉々にするしかなさそうね。)
エール:だったらぁー…
エールは大きい銃を取り出した。
エール:全部貫くだぁけよぉー♪
ドン
巨大な大砲が放たれ、剣は全て折れてしまった。
エール:どう?すごいでしょ♪
謎の女:…
ヒイカ:見ててもわからないけど?
謎の女:ふ~ん…玩具が二つ。楽しくなりそう…
スッ
謎の女は消えた。
ヤズネ:あいつは何したいのかわからないでやすね…
ヒイカ:あいつが何を考えてるのかなんて知らない。でも、これでやっと邪魔者が消えた。
エール:んー…邪魔者が入ったからなんだかやる気失せた~。
ヒイカ:はぁ?
エール:今日は帰る~。無駄に魔力も消費しちゃったし~。
ヒイカ:(…逃げるように見せて何かしてくる?いや、そんな雰囲気じゃない。本当に今日は逃げるつもり?)
エール:じゃあね~。
エールはくるっと回り、堂々と歩いて行った。
ヤズネ:逃がして…いいの?
ヒイカ:戦意のないやつ相手にしてもつまらないだけよ。
ヤズネ:(バトルマニアにも戦う上でのルールがあるんでやすね。)
ヒイカ:…『虹色の花束』
ビュンビュンビュンビュン
ヒイカは岩に向かって鋭い虹色の花弁を飛ばした。
ネクリア:あいたたたた!
岩陰からネクリアが出てきた。
ヒイカ:何してんのよあんた。
ネクリア:え?えーっと…岩盤浴。
ヒイカ:どこが浴?もっとマシな嘘つきなさいな。
ネクリア:はぁい。
ネクリアの後ろから、ぞろぞろと手下たちが出てきた。
ヤズネ:全員いたんでやすね。
ウミナギ:おいネクリア、助太刀してもよかったんじゃねェかァ?
ネクリア:すればもっと状況は悪化してたわよ?
ジャング:だろうな。場がややこしくなっただけだ。
ハリイノギョ:わいらも戦いたかったわ~。
ミョンガー:だね~。
ネクリア:あなたたち混ざったら足手まといよ。
ミョンガー:ガ~ン!
ハリイノギョ:傷つくがな!
ウミナギ:ところで、鳥。お前撃たれてたけど大丈夫なのかァァ?
ヤズネ:ん?おお、わちきは大丈夫でやすよ、何せ虹使いの必殺技を受けても生きてる体でやすから。
ネクリア:(ヒイカの必殺技?といったらやっぱりレインボーフォールよね。あれに勝る大技なんてないし。)
ジャング:(むしろ、あの技よりも強い技なんてあったら…それこそ破滅だな。まぁ、本当に一瞬で全てを消す技があるから、世界を滅ぼす力なのかもな。)
ヤズネ:にしてもお前、わちきを心配してるんでやすか?照れるでやすねぇ♪
ウミナギ:あァ?何勘違いしてんだァ?鳥が羽撃たれたら飛べねェだろ。そしたら行動も制限されんだろォォ。
ヤズネ:えへへっ。照れ屋さんでやすね~♪
ヤズネはウミナギの頭に乗って髪をぐちゃぐちゃにした。
ウミナギ:おい、てめェェ何してんだァァァ!
ヤズネ:照れるなよ☆
ウミナギ:照れてねェ!っつーか降りろォォ!!
ネクリア:あらあら、あんたたち仲良いわねぇ。妖怪同士だから?
ウミナギ:仲良くねェよ!
ヒイカ:うるさいわねー。
ネクリア:おっと、一人でどっか行くのはナシよ?
ヒイカ:…読めた?
ネクリア:読めた。娘の考えくらいわかるわ。
ヒイカ:誰が娘よ。ほら、さっさと行くわよ。
ヤズネ:おぉ?もう行くんでやすか?
ネクリア:急いで行くとこもないでしょ?ミョンガーたちがいいお店教えてくれたから、そこ行きましょ?
ヒイカ:…まぁ、いいけど。
ネクリア:よーし行くわよー!
その後、お店で騒いで怒られたのは言うまでもなかった。
 
続く
2011年3月23日作成