世界から色を奪い取る虹色の力。その力は遥か昔、世界を破滅に導いたとされる。
この能力はレインボーといい、使えば使うほど周囲の色を奪う能力。
色の消えた物は認識できないのと同じだが、物はそこに「在らなくてはならないもの」のため、消えはしない。
その物は色を失い、色の無き色(モノクロ)へと変わる。
しかし、それが生き物なら話はまったくの別物である。
生き物は元々存在が不安定で不確かな物。つまりそれは「在らなくてはならないもの」ではない。
そうなると、色を失った生き物はどうなるか?その答えはシンプル。…残された道は消滅のみ。
ウ:ってのがこの本の大体の内容だ。
ハ:なんや恐ろしい能力やな…ほんまに世界破滅に導いたっての納得や…
ネ:でも、それだけだとただの神話でしょう?ウミナギはどこを見ておかしいと思ったの?
ウ:それはこの先だ。俺もまだ途中までしか読んでねェけど…
その話は数年前、とある大きな国での話だった。
とある時、小さな女の子が生まれた。その女の子は生まれつき、伝説の能力を持っていた。
虹の力を持った者が生まれた時は、その者を殺すことは正当防衛とされていた。
しかし、彼女の親は彼女を殺さなかった。彼女には能力の恐怖を伝えずに育てた。
彼女はその力の本当の恐怖を知らされないまま育った。しかしとある日、その力で色が消えたのを確認した。
彼女は親にその事を伝え、真実を知っていた父親は彼女を崖から突き落とした。
しかし、虹の力により頑丈に出来た体の彼女は生きていた。
父親は彼女を逃がしたとして殺された。母親も家ごと燃やされてしまった。
故郷に帰った彼女は激怒した。彼女の虹の力で国は一瞬で滅びた。
それを知った近隣の国の者たちが彼女を殺そうとした。しかし、彼女を殺すことは誰にもできなかった。
今でもなお彼女には刺客が幾度も差し向けられている。誰も決して勝てるはずがない。
そして、彼女はこう呼ばれる…
[虹の子]緋衣香。と───
ネ:虹の子…世界を破滅に導く力…
ジ:ネクリア?お前、変な事考えてないよな?
ネ:ふふ…別に変な事じゃないわ。私たちの目的は何?
ジ:世界征服だろ?
ネ:この虹の子の能力は?
ジ:世界を破滅に導く虹の力だ。
ネ:つまり?
ミ:仲間にしちゃおうってことだね~?
ネ:そうよ。この力、是非とも欲しいわ。
ジ:ちょっとまて、大きな国を滅ぼした力だぞ?話を聞く前に消されるに決まってる。
ネ:でも、もし仲間にできたら?
ウ:そんなことできたら、無敵だなァ。
ネ:でしょ?そんな最強の力さえ味方につければ、私たちは神をも味方にしたようなもの。世界を獲れる。
ジ:俺は反対だ!そんな力を持った奴が素直に協力するわけない!
ネ:そこは上手く言いくるめればいいのよ。あっちだって国を滅ぼして、前回の力の持ち主のように世界を滅ぼそうと思ってるはずよ!
ジ:どうかな?
ネ:きっと思ってるわ!よーし!目的が決まったわ。これから、虹の力を手に入れる!
ウ:でもよゥ、ソイツの言う通り、協力しなかったらどうするんだ?
ネ:その時は…私たちの支配の妨げになるようなら、早めに消すのよ。
ハ:消せるんかい?そんな力を持った奴なんて…
ネ:ウミナギ。現代の虹の力は、虹の子って書いてるのよね?
ウ:ああ。
ネ:だったら簡単よ。相手は「子供」。所詮は子供なのよ。
ウ:大きくなる前に消すってかァ?
ネ:そういうこと。きっと育てば手に負えなくなる。仲間にならないなら…消すなら今しかないわ。
ジ:マジかよ…無茶苦茶だな…
ウ:へッ。でもお前も、そんな無茶苦茶な奴だからついてきたんだろォ?
ジ:はぁ…まぁな。
ハ:せやな。
ミ:あはは~、本格的になってきたね~♪
ネ:さぁあんたたち、ついてきなさい!私の後ろで百鬼夜行になりな!
ハ:四鬼夜行やな。
ウ:少ねェな。
ミ:しかも百鬼(悪者)って自覚ありなのか~
ネ:ジャング、あんたがまとめ役ね。参謀ね。
ジ:俺かよ。
ネ:あんた以外いないでしょ?
ジ:しかたないな…
それからネクリアたちは様々な土地に訪れ、虹の子を探した。しかし、虹の子は見つからなかった。
あの書物もそれ以降の虹の子の足取りはわからずだった。
ジャングによれば、あの世で書いていた本が、この世に来た事であの世の者が書くことが出来なくなったかららしい。
ジ:どうする?このまま無造作に探しまわっても見つからないぞ?
ネ:そうねぇ…やっぱりここは、手分けして探すべきかしら?
ハ:なんや?何人組かに分かれるん?
ネ:それが一番効率がいいと思うのよ。
ジ:まぁそうだが、もし虹の子に出会ったらどうするんだ?俺やネクリアはまだいいとして、ハリイノギョたちじゃ説得も戦闘も出来ないぞ?
ネ:そこなのよねぇ。ミョンガーとウミナギは説得なんて出来ないだろうし、ハリイノギョじゃ戦闘はダメだものね。
ミ:心外だな~
ハ:わいは戦闘得意やってゆーたやろー。
ウ:相手が人間じゃなけりゃ喰わねぇよ。それに…俺にはこいつらがいる。
ネ:こいつら?
ウミナギの後ろから白い3つの球体の光が現れ、光が消えると、3匹の生物がいた。
ペ:ハッロー
ア2:よっ。
ノット(以下ノ):…
ジ:アルトアたち…
ネ:あんたたち、今までどこにいたのよ?
ア2:俺達はウミナギに憑いてるからな。お前達が気づいていないだけでいつもウミナギに憑いていた。
ネ:そう。じゃあウミナギは安心ね。アルトアとか口が達者そうだものね。
ア2:ああ、任せな。
ペ:オレタチハウミナギノタメナラナンデモスルゼ。
ネ:じゃあ、ミョンガーとハリイノギョが組めばどっちも出来るわね。
ジ:なんだ?俺達は個人行動か?
ネ:あんたは完璧人だから問題ないでしょ?私はいわずもがな。
ウ:よく言うぜェ。
ネ:よーし、そんじゃ私は東の道を進むわよー!
ミ:じゃあ僕らは南に行こうか~。
ウ:じゃあ俺らは北だ。
ジ:じゃあ俺は…って、西は今俺らが歩いてきた方角だろ。
ネ:戻るのね。
ジ:戻るのは嫌だな。俺は前しかみない。
ミ:前しか見ないのは危険だね~。
ハ:安全確認を怠ってしまうな~。
ジ:そういう意味じゃないだろ。
ウ:前ってことは、東だな。
ネ:あら、こっちにくるの?
ジ:あーもうそれでいいよ。
ネ:またあんたと二人旅なの~?
ジ:嫌なら南にでも行く。
ミ:こっちは僕たちの管轄~。
ジ:あーもうどうでもいいっての。
ジャングは東に向かって歩き出した。
続く
2011年3月2日作成