ウ:ふざけんなァァ!誰が人間の手下になんざなるかよォォォ!お前ら人間なんかなァァ俺が全員喰ってやるんだよォォォ!!
ネ:ええ。だから…あんたが喰えばいい。
ウ:あ゙ぁ゙?
ネ:私たちは世界を征服する。犯罪者どもを消し去るの。あんたは憎めば憎むほど力を増す。でも、決して「いい人間」を憎むことはできない。
ミ:いい人間?
ネ:さっきの女の子のようにね。どこまでがウミナギの許す範囲かわからないけど、ウミナギの判断で「いい人間」は決して恨めないのよ。
ウ:そ、そんなことはねェェ!俺は…人間が憎い!恨めしい!お前ら人間全員憎いんだ!
ネ:聞きなさい、ウミナギ。私は…あんたが欲しい。悪い奴を決して許さない、そいつらを憎めば憎むほど力を増す。これ以上ないほど適した能力だわ。
ウ:勝手に話を進めてんじゃねェェェ!手下になんかなんねぇって言ってんだろォォ!
ネ:だったら…
ネクリアはウミナギを抱き寄せた。
ウ:あ゙ぁ゙っ!?てめ、何しやがんだァァ!?
ネ:私が…あんたの親になってあげる。わかってるんでしょ?あんただって…
ウ:うるせェェ!
ネ:もう強がらなくていい。いい人間まで憎もうとしなくていい。頭ではわかってるはずよ。憎む力が弱まれば、本当に憎い奴を喰う力がなくなってしまう。だから、人間全てを憎もうとしてるのよね?
ウ:違う!俺は…本当にお前ら人間が…
ネ:甘えなさい。私があんたの親になってあげるから…ね?ナギ…
ウ:うるせェ…人間がァァ…憎い…憎いんだよォォォォ!!
ウミナギはネクリアを振り払った。
ジ:こいつ!
ネ:攻撃するんじゃないわ!
ジ:でも…
ウ:人間めがァァァ…喰ってやるよォォォォ!『イートピーポー!』
ミ:またあれだ!危ないよ~!!
しかし、ウミナギの手は顔に変形しなかった。
ウ:あぁ…?なんでだよ…?どうした!飛べよォォ!!あの憎たらしい人間を…喰えよォォォ…
ウミナギはその場に膝をついた。
ウ:なんでだよ…どうしてだよ…憎いのに、恨めしいのに…
ネ:ウミナギ。
ネクリアは再び手を差し伸べた。
ネ:私たちと一緒に…世界を征服しましょう?
ウ:(こいつ…何で俺なんかを…?忌み嫌われる「犬神」だぞ?人間を喰う妖怪だぞ?なのに…)
《ナギは私の家族だよ!私の大切な家族なの!》
ウ:(家族…?こいつは本当に親になるつもりなのか?いや、きっと言葉だけだ。俺の力が欲しくて言ってるだけにすぎない。だが…)
ウミナギはゆっくりと手を出した。
ウ:(俺は心の奥底で思っちまった。嘘でもいい、また…「親」と呼べる存在といたい。「犬神」ではなく、「人」として…)
ネ:ようこそ。ウミナギ。
ウ:へッ…変な奴だな…お前…。とんだ化け狐だ。俺を丸めこむために平気で嘘つきやがって…
ネ:あら?別に嘘なんて言ってないわよ?私は、手下の事は子供のように愛してるわよ?
ウ:下手くそな嘘だな…
ジ:おい犬。ネクリアは別に嘘なんか言ってないぞ。
ウ:あ゙ぁ?
ジ:ネクリアは本当に、手下を家族のように大切に思っている。
ウ:(マジかよ…?こいつ…そんなこと言ってたら、手下が増えたら家族だらけじゃねぇか。何も考えてねぇんだろうな…)ハハッ…バカな奴だな…
ハ:あれ?
ジ:お?
ミ:およ?
ネ:あら?
ウ:あぁ?なんだ?
ネ:あんた今、笑ったわね?
ウ:笑ってねぇよ。
ネ:絶対笑ったわ!
ウ:しつこいな…
ハ:なんや、あんさんも笑えるんやなー!
ミ:もっと笑顔でいるといいよ~。
ウ:うるせェ!
ア2:信じられない…
ネ:あら、アルトア。いたの?
ア2:ウミナギが笑うなんて…人間の姿になってから初めて見た…
ネ:ふふん、私といればもっと笑うようになるわよー?
ハ:せやな!
ア2:(たしかに…この者たちといれば、ウミナギはきっと…)
ネ:さぁて、行くわよ。ジャング、ミョンガー、ハリイノギョ、…ウミナギ!
ウ:…おうッ。
ウミナギはネクリアの手下になった。ウミナギは未だにネクリアを完全に信頼したわけではない。
でも、ウミナギの心の中の鎖は、少しずつ、解けてきたのかもしれない…
続く
2011年2月17日作成