05 金が舞う深夜

ネ:と、いうわけで次の町よー!

ミ:今度はどんな町かな~?

ハ:おぉっ!あんさんら見てみぃや!これうまそうやで~!

   ハリイノギョはレストランの看板をじーっと見つめていた。

ネ:たしかに美味しそうね!

ジ:高いだろ。どう見ても高級レストランじゃないか。

ネ:一度でいいからこういうお店で食べてみたいわね。あぁ…やっぱり前の町での賞金が痛い…

ジ:贅沢言うなよな。

ネ:いっそのこと食い逃げでもしちゃいましょうか☆

ジ:アホか。

???:食い逃げとは感心しないな。

   レストランから、一人の男が出てきた。

ネ:別に本当にするわけじゃないから問題ないでしょ?それよりアンタ、そこに入れるくらいのお金あるんなら1食くらい奢ってくれないかしら?

???:貧しいのか?そんなに僕に縋りたいのなら仕方ない。奢ってあげよう。ありがたく思え。

ジ:鼻に付く奴だな。お前に奢ってもらう必要はない。行くぞ。

   ジャングはネクリアを引っ張ってその場を去ろうとした。

???:愚かな人民、せっかくのご馳走のチャンスを逃すとは、頭の悪い…

   かちん

ジ:さっきから随分と偉そうだな。何様のつもりだ?

アンプ(以下ア):なんだ?僕のことも知らないのか?仕方ないから教えてやる。よーく聞いておくがいい。僕は栄光なるドープ家の子孫、アンプ・ドープだ。

ネ:ジャング、あなた知ってる?

ジ:知るわけない。

ミ:僕も知らないよ~。

ハ:わいも知らんな。

ア:お前ら…まぁいい!僕がどれほどすごいかを教えてやろう。ドープ家とは、代々医療界のトップを突き進み、僕の祖父は医療の神とも呼ばれたのだ!

ジ:知らん。

ミ:っていうか祖父ってことは、父親は大したことないのかな~。

ハ:せやったら息子はさらに大したことないってことやな。

ア:お、お前ら…僕を侮辱したな!?この僕を…っ!

ネ:何怒ってんのよ。別に知らなかったくらいで怒ることないでしょ?今知ったってことでいいじゃないの。

ア:うるさい!僕を侮辱した罪は大きいぞ!

   アンプは懐から試験管を取り出した。

ネ:どっから出したのよ…

ア:ふふっ…僕はまだ子供だから表には出られないが、ドープ家で最大の天才だという事を教えてやる!

   アンプは試験管のコルクを抜き、近くの花に中の液体を注いだ。

ミ:何してるの~?

ア:刮目しろ!僕の研究の成果を!

ネ:って言われても、何がどうしたってのよ。

ジ:…?ネクリア、あの花を見ろ。

   アンプによって液体の注がれた花は、徐々に大きくなっていった。

ネ:何?巨大化薬?そんなの今の世じゃいくらでもあるわよ。

ア:それだけじゃないぞ。

   花は人よりも大きくなり、花弁は鋭利な刃物のように尖り、根は足のように地面に立った。

ネ:あぁ、なるほどね。生き物にしちゃいますよーってことね。

ア:そうだ。これが僕の作った薬!この薬さえあれば、お前らのように僕に歯向かう奴を倒すことだって出来るんだ!僕はもう落ちこぼれでも弱虫でもないってこと…教えてやるんだ!

   花の怪物はゆっくりと歩き出した。

ア:さぁ!あいつらを倒せ!

ネ:まったく、面倒な奴ね。

   ネクリアは戦闘態勢に入ろうとしたが、ジャングが前に出た。

ジ:ここは俺に任せてくれないか?あいつは気に障る。

ネ:そう。じゃあ任せようかしらね。

ア:愚かな人民よ、花の怪物に食われて消えろ!

ジ:巨大化して動けるようになっても所詮花は花。『ナイフ微塵斬り!』

   ジャングは花の怪物をナイフで連続で斬りつけた。

ジ:たわい無い。

   花の怪物はバラバラに切り刻まれ、その場に散った。

ア:そんな…僕の研究の成果が……。いや、違う!今のは花に使ったからいけないんだ!今度はもっと強いやつ…そうだ!石だ!

   アンプはまた試験管を取り出し、中の液体を道端に転がっていた石に注いだ。

ア:愚かな人民ども!今度こそ終わりだ!石の怪物に潰されてしまえ!

   石はみるみる大きくなり、手と足が現れた。

ジ:これは…ナイフだとキツいな。

ネ:じゃあ今度こそ私が…

ミ:んじゃ僕が行く~!

   ネクリアが出ようとすると、ミョンガーが勢いよく跳んで行った。

ネ:ちょっ…

ア:ははっ!そんな奴に負けるわけないだろ?行け!石の怪物!

ミ:そんな奴とはひどいなぁ~。じゃあこれでもく~らえっ!

   ぐぐっ

   ミョンガーは足を縮めた。

ネ:(お、アレね。)

ミ:『ストライクキック!』

   ミョンガーは勢いよく足を伸ばし、石の怪物を蹴りつけた。

ア:うげげっ!?

   石の怪物は耐えきれずに崩壊した。

ア:う、嘘だろ…?あんな生物に負けるなんて…

ジ:まだやるか?

ア:く…覚えてろ…お前達は、僕が絶対に倒してやるからな!!

   アンプは捨て台詞をいい、走っていった。

ハ:変な奴に絡まれてしもたなぁ。

ネ:ま、いいわよ。そこまで真面目に相手しなくてもあしらえそうな相手だし。それよりお腹空いたわ!ファーストフードでも探しましょ。

ジ:あれ?レストランは?

ネ:奢ってくれる人が行っちゃったんだから諦めるわー。

ミ:ちぇ~っ。

 


                               続く

 

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2011‎年‎2‎月‎13‎日作成