"禁忌"。それは読んで字の如く、決して犯してはならない禁じられたもの。
この世の能力は数えきれないほどある。その能力一つ一つには技がある。そして、能力一つ一つに"禁忌"もある。
"禁忌"は決して使ってはいけない技。唱えてはいけない呪文。その術一つで何かを消し去る。
獅子魚の島の洞窟
人間2:あれ…?あいつは?
ネ:あの人は大地へ還ったわ。
ミ:大地へ還った?どういう意味~?
ネ:アースサタン。直訳で大地の憤怒。
ミ:ん~?サタンって憤怒なの?
ジ:サタンとは悪魔の名前だ。7つの大罪の一つである、憤怒の象徴とされる。
人間3:おい!だからあいつをどこにやったんだよ!
ネ:そのままの意味よ。大地の怒りに触れた人間は、大地によって大地に還された。
人間2:大地に?…まさか、生き埋め!?
ネ:生き埋め?随分生温いこと言うわね。
人間2:え?
ネ:だからー、大地に還ったのよ。生きる前のね。
ミ:いまいちわからないな~?
ジ:ネクリア。抽象的すぎだ。かっこつけたいのはわかるが、伝わらなければ意味がない。
ネ:あらそう?
ジ:俺が説明する。即ち、先程の人間は大地に沈められ、既に人間ではなくなったということだ。
ネ:あんたも似たようなものじゃないの。よくわからないわ。
ジ:ネクリアよりは解りやすいだろう。
ミ:つまり~?
ジ:つまり、あの人間は大地の力で分解されたんだよ。
ミ:分解?死んじゃったの?
ジ:死ぬということではない。いや、むしろ生きている。人間として生きていないだけでな。
人間2:わけわからん…何が言いたいんだよ!
ネ:まだわからないの?頭悪いわねー。この術は"禁忌"。それは決してしてはいけないこと。
ミ:ん~。僕はなんとなくわかったかな~。つまり、あの人間は地面に埋められて、栄養になっちゃったってことでしょ?
ネ:栄養…まぁそういう考えでもいいわね。
ハ:(なんなんやこいつら…"禁忌"なんて聞いたことない…そもそもなんで一般人がそんな技を使えるんや?)
ネ:とにかく!そこの人間たち。あなたたち…まだ抵抗する?
人間2:と、とんでもない!大地の栄養になんてされてたまるか!
人間たちは逃げていった。
その後ネクリアたちは、獅子魚たちを檻から出し、撃たれて死んでしまった獅子魚たちを弔った。
ハ:あんさんら、おおきにな。わざわざ墓まで作ってもろて…
ネ:これくらいしか出来なくて申し訳ないわね。
ハ:いや、十分や。感謝しとるで。
ネ:…何も聞かないのね。
ハ:たしかに気にはなっとるよ。あんさんは一体何がしたくてわいを手下にしたい思ったんか。でも、わいはあんさんらを信じとる。せやから聞く必要はない。
ネ:私たちは…世界を征服しようとしているのよ。
ハ:世界を?随分ド派手な夢やな。
ネ:まぁね。でも、私たちは本気。それぞれ、この世界を変えたいって本気で思ってる。
ハ:出来るんか?
ネ:出来るか出来ないかじゃなくて、やらなきゃいけないのよ。あんな犯罪者たちを野放しにする世界なんて…誰かが変えなきゃいけない。
ハ:そうか…正直、そんなことは不可能やと思う。けど、なんでやろな?…あんさんらやったら、本当にしてくれそうな気がするわ。
ネ:それを踏まえてもう1度お願いするわ。ハリイノギョ、あんた…私の手下にならない?世界を征服して、犯罪者たちを消すのよ。
ハ:こっちも同じ事を言うで。わいはこの場所から離れられへん。けど……本当に世界を変えられるなら…変えたい!
ネ:…ついてきなさい、ハリイノギョ。
ハリイノギョは静かに頷いた。
獅子魚:ハリイノギョ…行くのか?
ハ:ああ。わいは…皆の為に、この人に協力する。皆が安心して暮らせる世を…わいが作ってくる。
獅子魚:そうか…がんばれよ!
ハ:おおきに…皆っ!
ネクリアたちは、獅子魚の島を後にした。
ネ:あ゙っ!
ジ:なんだよいきなり…うるさいな。
ネ:大食いコンテスト忘れてたぁぁー!!
この時すでに、コンテストはとっくに終わっていたのだった。
ミ:ああ、あったね~そんなの。
ネ:賞金がぁぁぁ~…
ジ:諦めろ。
ネ:ぁぁぁ~…
ミ:きっと来年があるよ~。
ネ:そうね!来年こそはきっと優勝よ!
ジ:優勝も何も出場すらしてないだろ。
ネ:うっさいわねー!優勝ったら優勝よ!
ジ:来年の事を言えば鬼が笑う、だな。
ネ:鬼?鬼なんてどこにいるのよ?
ジ:ことわざだっての。
ハ:ははっ。やっぱあんさんらおもろいわ~。
ネ:ふふ…あんたも、参加しなっ!
ハ:そんじゃー遠慮なく!
こうして、ネクリアには2人目の手下が出来た。
続く
2011年2月11日作成