獅子魚の島
ネ:煙はどっかあの辺からあがってたわね。
ジ:森の奥だな。火事にでもなってるんじゃないか?
ネ:とりあえず行ってみないとねぇ。
森の奥
森の奥では、木が燃えていた。
ミ:うわ~ほんとに燃えてるよ~!
ネ:んな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ!ジャング!早く消すわよ!
ジ:いや水技持ってないから。
ネ:使えないわね!『水の波踊り!』
ネクリアは水の鞭で火を消していった。
ミ:そういえば、獅子魚たちはどこなんだろうね?
ネ:そうよ!ハリイノギョを探すわよー!
ジ:どうやって?
ネ:…
ミ:ん~…こっちだね。
ミョンガーはぴょんぴょん跳ねながら勝手に進んで行った。
ネ:あ、こら待ちなさい!
ネクリアとジャングはミョンガーを追いかけた。
ミョンガーが行った先には、洞窟があった。
ネ:洞窟?
ジ:ん?何か聞こえる…
ミ:「この不思議生物を売り飛ばせば、俺達は大金持ちだな。」だってさ~。
ジ:お前…相当耳いいな。
ミ:まぁね~。
ネ:それより、不思議生物ってのは…獅子魚の事かしら?
ジ:だとしたら危ないな。
ネ:乗り込むわよ!
ネクリアたちは勢いよく洞窟に入っていった。
ネ:そこまでよ!小悪党どもー!
そこには、檻に入れられた獅子魚たちと、複数の人間がいた。
ネ:あんたたち何やってんのよ。早く獅子魚を解放しなさい!
人間1:まぁまぁ話を聞けって。こいつら売り飛ばしたら、いくらになると思う?こんな珍しい生物…きっと相当な値だぜ?どうせなら仲間にいれてやるよ。
人間2:あれ?あんたさ、昨日町に来てコンテストに参加するんだーって言ってなかったか?だったら、コンテストに参加するよりも確実に大金が手に入るぜ?
ネ:そうね。たしかに大金は簡単に手に入るでしょうね。
ジ:おいネクリア!
ネ:でもね…そいつらを売り飛ばしたりなんかさせないよ。私は自分の手下は守る。手下の仲間だって守るのが上の者のすることってもんよ!!
ミ:わ~!かっこい~!
ネ:ふふん!でしょ?
人間3:どうする?このこと町の奴らにでも言われたら…
人間1:うろたえるな。相手はたかが3人だ。それに旅人か…行方不明になったって…誰も変には感じないよな?
人間2:え?お前何言って…?
人間1:こうするんだよ。
人間1は銃を取り出した。
ジ:あいつ!
人間1:おっと動くなよ?撃たれたくなかったらじっとしてな。それより…そこの奇妙な生物も、高く売れそうだな。
ミ:ん~?僕のこと~?
人間1:お前ら二人、殺されたくなかったらその生物をこっちに渡しな。
ネ:生憎だけどそんなことは出来ないわね。ミョンガーは私の手下なのよ。
人間1:だったら今すぐ撃たれたいか?
人間1はネクリアに銃を向けた。
ハ:危ないで!今すぐ引き返すんや!
ジ:あそこにいるのがハリイノギョか。
ネ:あんたそんなとこにいたのね。
ハ:あんさんらが来てくれたのはありがたいけど、せっかくの命を落とす必要ないんや!今すぐ帰るんや!
人間1:お前は黙ってろ!
人間1はハリイノギョに銃を向けた。
ネ:はぁ~っ。これだから馬鹿な人間は困るのよね。
人間1:何だと?
人間1は再びネクリアに銃を向けた。
ネ:この魔女ネクリア様が、銃ごときで怯むとでも思った?
ゴゴゴゴゴ
人間たちの足元が揺れ始めた。
人間2:なんだ!?
ネ:『木の根操縦!』
ドコッ
人間たちの下から木の根が現れ、人間たちを叩きつけた。
ミ:お~っ!
人間3:ま、魔法!?
ネ:耳の穴から骨の髄までよ~く聞いときな。私は魔女ネクリア。世界一強くて美人で優しいお姉さんよ。
人間2:世界一強いと言う割には聞いたことないな。
人間1:美人…?
人間3:お姉さん?
ネ:あーそう。そーくる?あんたたち…いい度胸してるじゃないのぉぉ??
ジ:(ネクリアの逆鱗に触れたな…)
ネ:もう容赦はしないわ!『火の山地獄!』
ネクリアは火の塊を投げつけた。
ボォォッ
人間2:あちちっ!
ネ:安心しなさい。直接ぶつけようなんてことはしないわ。悪い事は言わない。今すぐこの場を立ち去りなさい。
人間3:お、おい…もうやめようぜ!
人間1:う、うるせぇ!ここで引くわけにはいかないんだ!…そうだ!
人間1は獅子魚に銃を向けた。
人間1:それ以上動くと、こいつらを1匹ずつ撃つぜ!
ネ:あんたまだそんなことを…
人間1:動くなって言ってんだろ!売り飛ばせないなら、誰かが売る前に俺が殺してやるよ!この商売は俺が最初に考えたんだ、他の奴らにとられてたまるかよ!
人間2:おいおい…もうよくね?逃げようぜ!
人間1:ここまできて引けねぇよ!どうせダメならもろともだ!
ネ:やめなさい。無駄だってわかってるでしょ?
獅子魚:そうだ!早くだせー!
人間1:うるせぇって言ってんだろ!
バァーン
人間1はムキになって誤って引き金を引いてしまった。
バタッ
獅子魚が1匹檻の中で倒れた。
ハリイノギョ:お前…なんてことを!!
ジ:あいつ…!
人間3:おい…やばいんじゃないか?
人間1:あいつが黙らないからだ!せっかく売り物として高く評価してやってんのに、抵抗なんてするからだ!
獅子魚:よくも仲間を!
人間1:黙れって言ってんだろ!
バァーン バァーン バァーン
人間1は獅子魚たちをどんどん撃っていった。
ジ:ネクリア。あいつ…
ネ:…ええ。本当はこんなことしたくないけど、犯罪者は裁かれなきゃいけないのよ。
ネクリアは左手を右手首にそえ、人間1に向けた。
人間1:動くなって言ってんだろ!お前も撃つぞ!
ネ:憤怒の象徴サタンよ、悪しき人間を母なる大地へと還せ。
人間1:何をわけのわからないことを…
ネ:『"禁忌"アースサタン』
カシャン
ネクリアが"禁忌"を唱えたその瞬間、音もなく人間1は消え、そこには人間1の持っていた銃だけが残っていた。
続く
2011年2月11日作成