03 水が揺れる夜

   獅子魚の島

ネ:煙はどっかあの辺からあがってたわね。

ジ:森の奥だな。火事にでもなってるんじゃないか?

ネ:とりあえず行ってみないとねぇ。

   森の奥

   森の奥では、木が燃えていた。

ミ:うわ~ほんとに燃えてるよ~!

ネ:んな呑気なこと言ってる場合じゃないでしょ!ジャング!早く消すわよ!

ジ:いや水技持ってないから。

ネ:使えないわね!『水の波踊り!』

   ネクリアは水の鞭で火を消していった。

ミ:そういえば、獅子魚たちはどこなんだろうね?

ネ:そうよ!ハリイノギョを探すわよー!

ジ:どうやって?

ネ:…

ミ:ん~…こっちだね。

   ミョンガーはぴょんぴょん跳ねながら勝手に進んで行った。

ネ:あ、こら待ちなさい!

   ネクリアとジャングはミョンガーを追いかけた。

   ミョンガーが行った先には、洞窟があった。

ネ:洞窟?

ジ:ん?何か聞こえる…

ミ:「この不思議生物を売り飛ばせば、俺達は大金持ちだな。」だってさ~。

ジ:お前…相当耳いいな。

ミ:まぁね~。

ネ:それより、不思議生物ってのは…獅子魚の事かしら?

ジ:だとしたら危ないな。

ネ:乗り込むわよ!

   ネクリアたちは勢いよく洞窟に入っていった。

ネ:そこまでよ!小悪党どもー!

   そこには、檻に入れられた獅子魚たちと、複数の人間がいた。

ネ:あんたたち何やってんのよ。早く獅子魚を解放しなさい!

人間1:まぁまぁ話を聞けって。こいつら売り飛ばしたら、いくらになると思う?こんな珍しい生物…きっと相当な値だぜ?どうせなら仲間にいれてやるよ。

人間2:あれ?あんたさ、昨日町に来てコンテストに参加するんだーって言ってなかったか?だったら、コンテストに参加するよりも確実に大金が手に入るぜ?

ネ:そうね。たしかに大金は簡単に手に入るでしょうね。

ジ:おいネクリア!

ネ:でもね…そいつらを売り飛ばしたりなんかさせないよ。私は自分の手下は守る。手下の仲間だって守るのが上の者のすることってもんよ!!

ミ:わ~!かっこい~!

ネ:ふふん!でしょ?

人間3:どうする?このこと町の奴らにでも言われたら…

人間1:うろたえるな。相手はたかが3人だ。それに旅人か…行方不明になったって…誰も変には感じないよな?

人間2:え?お前何言って…?

人間1:こうするんだよ。

   人間1は銃を取り出した。

ジ:あいつ!

人間1:おっと動くなよ?撃たれたくなかったらじっとしてな。それより…そこの奇妙な生物も、高く売れそうだな。

ミ:ん~?僕のこと~?

人間1:お前ら二人、殺されたくなかったらその生物をこっちに渡しな。

ネ:生憎だけどそんなことは出来ないわね。ミョンガーは私の手下なのよ。

人間1:だったら今すぐ撃たれたいか?

   人間1はネクリアに銃を向けた。

ハ:危ないで!今すぐ引き返すんや!

ジ:あそこにいるのがハリイノギョか。

ネ:あんたそんなとこにいたのね。

ハ:あんさんらが来てくれたのはありがたいけど、せっかくの命を落とす必要ないんや!今すぐ帰るんや!

人間1:お前は黙ってろ!

   人間1はハリイノギョに銃を向けた。

ネ:はぁ~っ。これだから馬鹿な人間は困るのよね。

人間1:何だと?

   人間1は再びネクリアに銃を向けた。

ネ:この魔女ネクリア様が、銃ごときで怯むとでも思った?

   ゴゴゴゴゴ

   人間たちの足元が揺れ始めた。

人間2:なんだ!?

ネ:『木の根操縦!』

   ドコッ

   人間たちの下から木の根が現れ、人間たちを叩きつけた。

ミ:お~っ!

人間3:ま、魔法!?

ネ:耳の穴から骨の髄までよ~く聞いときな。私は魔女ネクリア。世界一強くて美人で優しいお姉さんよ。

人間2:世界一強いと言う割には聞いたことないな。

人間1:美人…?

人間3:お姉さん?

ネ:あーそう。そーくる?あんたたち…いい度胸してるじゃないのぉぉ??

ジ:(ネクリアの逆鱗に触れたな…)

ネ:もう容赦はしないわ!『火の山地獄!』

   ネクリアは火の塊を投げつけた。

   ボォォッ

人間2:あちちっ!

ネ:安心しなさい。直接ぶつけようなんてことはしないわ。悪い事は言わない。今すぐこの場を立ち去りなさい。

人間3:お、おい…もうやめようぜ!

人間1:う、うるせぇ!ここで引くわけにはいかないんだ!…そうだ!

   人間1は獅子魚に銃を向けた。

人間1:それ以上動くと、こいつらを1匹ずつ撃つぜ!

ネ:あんたまだそんなことを…

人間1:動くなって言ってんだろ!売り飛ばせないなら、誰かが売る前に俺が殺してやるよ!この商売は俺が最初に考えたんだ、他の奴らにとられてたまるかよ!

人間2:おいおい…もうよくね?逃げようぜ!

人間1:ここまできて引けねぇよ!どうせダメならもろともだ!

ネ:やめなさい。無駄だってわかってるでしょ?

獅子魚:そうだ!早くだせー!

人間1:うるせぇって言ってんだろ!

   バァーン

   人間1はムキになって誤って引き金を引いてしまった。

   バタッ

   獅子魚が1匹檻の中で倒れた。

ハリイノギョ:お前…なんてことを!!

ジ:あいつ…!

人間3:おい…やばいんじゃないか?

人間1:あいつが黙らないからだ!せっかく売り物として高く評価してやってんのに、抵抗なんてするからだ!

獅子魚:よくも仲間を!

人間1:黙れって言ってんだろ!

   バァーン バァーン バァーン

   人間1は獅子魚たちをどんどん撃っていった。

ジ:ネクリア。あいつ…

ネ:…ええ。本当はこんなことしたくないけど、犯罪者は裁かれなきゃいけないのよ。

   ネクリアは左手を右手首にそえ、人間1に向けた。

人間1:動くなって言ってんだろ!お前も撃つぞ!

ネ:憤怒の象徴サタンよ、悪しき人間を母なる大地へと還せ。

人間1:何をわけのわからないことを…

ネ:『"禁忌"アースサタン』

   カシャン

   ネクリアが"禁忌"を唱えたその瞬間、音もなく人間1は消え、そこには人間1の持っていた銃だけが残っていた。

 


                                      続く

 

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2011‎年‎2‎月‎11‎日作成