02 火が流れる夕

ネ:新しい街ね!

ミ:初めてきたな~。

ジ:隣町だろ?

ミ:あんまあの町から出た事ないからね~。

ジ:そうか。

ネ:あ、見なさいよあんたたち!コンテストだって!

ジ:コンテスト?何の?

   「大食いコンテスト。賞金100万円! 出場条件→勇気のある人 日付→明日」

ジ:明日っておい…

ネ:ジャング。宿を準備しなさい。

ジ:え、まさか…

ネ:大食いコンテスト出るわよ!そして優勝して賞金をいただくわよー!

ジ:マジかよ…

ネ:というわけでホテルを用意してきなさい。

ジ:ったく…

   ジャングは近くの手ごろなホテルに予約をとった。夕食まで時間があったので、近くの海でのんびりすることにした。

   海

ネ:夕日が綺麗ね。

ミ:まるで生命の終わりのようだね~。

ジ:(生命の終わり…?)

ネ:ところでミョンガー。あんた、なんでこの世変えたいのよ?

ミ:そういうのを聞くときは…

ネ:自分から…ね。私はねー、犯罪者が…ってこの前言ったわよね?

ミ:うん。聞いた~。

ネ:じゃあいいじゃない。はい、アンタいいなさい。

ミ:次はジャングだよ~。

ジ:え、俺も言うのか?

ネ:ほら、言いなさいな。

ジ:いやいや、俺がミョンガーに聞いたわけじゃないから別にいいだろ。別にミョンガーの理由も知りたくないし。

ネ:冷めてるわねぇ。かちんこちんだわ。

ミ:しっかりしなよ~。この寒さで寝たら死ぬよ~。

ジ:どこの雪山だそれは。

ミ:ところで~。さっきからずぅ~っと何かがこっち見てるよ?

ネ:何か?

   海面から、目だけを出してじーっと何かが見つめていた。

ネ:…ジャング。

ジ:おう。

   ジャングは素早く動き、水中の生物を引きずりだした。

??????:あいたたた!何すんじゃ!

ネ:もういいわ。ジャング、降ろしなさい。

   ジャングは生物をゆっくりと地面におろした。

ネ:で?何の用があって私たちを見てたのかしら?えーっと…えっと…イノシシ。

ジ:いやどちらかというと獅子舞だろ。

ネ:そうよそれよ!獅子舞!それが言いたかったの!

ジ:どーだか。

   その生物は獅子舞のような顔に鰭をつけ、魚と合体したような姿をしていた。

ネ:まず、名前を名乗りなさい。

ハリイノギョ(以下ハ):わいはハリイノギョ。獅子魚のハリイノギョや。

ジ:獅子なのにイノかよ。

ハ:いや~あんさんが妙に綺麗やさかい、つい見惚れてしもたんや。堪忍なー。

ネ:あ、あらそう?まぁ、私が綺麗だから見とれるのは当然ね!

ジ:そういえばお前、鰭もあるのに足もあるのか。

ハ:わいら獅子魚一族は水陸両用生物や。まぁ、少しの間なら羽のように動かせば浮けるんやで。

ネ:へぇ~すごいわね。よし、あんた手下になりなさい。

ジ:まてまてまて。

ネ:何よー。

ジ:この前からてきとーに手下決めすぎだろ…もうちょっと考えないと、実力のない奴を手下にしても足手まといだぞ。

ハ:ほぅ…あんさん、わいに実力がないと言いたいんか?

ジ:いや、別にお前に実力がないとは言ってない。だが、慎重に選ばないとな。

ハ:ま、安心せや。わいはあんさんらの手下にはならんで。

ネ:えー!?どうしてー?ジャングが気に入らない?

ジ:おま…

ハ:ちゃうちゃう。むしろあんさんらは楽しそうで是非とも混ぜてほしいくらいや。せやけど、わいはわいらの住んでる場所から離れられへん。わいの仲間はあいつらやねん。

ネ:そう…だったら仕方ないわね。

ハ:堪忍な。また今度会った時、わいがここを離れられたら一緒に行かせてもらうわ。

ネ:ええ。待ってるわ。

ジ:(だーから実力も考慮せずに待ってるとか言うなってば…)

ネ:ところで、あんたらってどこに住んでるの?やっぱ海底とか?

ハ:いーや、大した事あらへんよ。ほら、あっちに島が見えるやろ?

   ハリイノギョの指す方向に、小さな島が見えた。

ハ:あそこがわいらの住処やねん。誰かが荒らすこともない、いい島や。

ネ:そう。じゃあ、今度来た時にでもお邪魔するわ。

ハ:お、是非寄ってってーな!むしろ今でもええで?

ネ:あはは。残念だけど、今夜はジャングが宿をとったのよ。

ジ:俺が、じゃなくてお前がとれって言ったんだろ。

ハ:ま、わいらはいつでもいいさかい、待っとるでー!

ネ:ええ。ありがと。

   ハリイノギョは島に泳いでいった。ネクリアたちもホテルに戻った。

   そして次の日

ネ:さぁ!今日は優勝目指して頑張るわよー!

ジ:テンションたけぇ…

ミ:ジャングは随分と暗いね~。

ジ:寝起きは調子悪いんだ。

ミ:へぇ~。

   ざわざわ

ネ:何かしら?騒がしいわね。

ジ:どうしたんだ?

住人:あの島…獅子魚の島から煙が上がってるんだ。

ネ:えっ!?獅子魚って昨日の…

   住人たちの言う通り、島からは黒煙があがっていた。

ミ:あれってちょっとやばいんじゃないの~?

ネ:行くわよ!

ジ:ちょっと待て!コンテストはどうするんだよ!

ネ:まだコンテストまでは2時間あるわ!まずはあっちよ!

ジ:遅れても知らないぞ。

ネ:わかってるわよ!この魔女様に不可能はないから安心しなさい!『水の波踊り!』

   海から水の台が現れ、ネクリアたちはそれに乗った。

ネ:目標は獅子魚の島!レッツゴー!

   水の台は島に向かって進みだした。

 


                            続く

 

 

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2011‎年‎2‎月‎9‎日作成