012 虹色の涙

ヒ:『虹色の花束!』

   ズバババババババババ

グ:グギャァァァァァ!

ネ:(技の威力が…上がった!?)

ヒ:『虹色の龍風!』

   グバァッ

グ:ガ…グアァァ!

ネ:(つ、強い…!)

ヒ:ふん!

   ドガッ

グ:グガァッ!

ネ:(ただの蹴りでグランが吹き飛んだ!?なんなの…?あの力は一体!?)

ヒ:知りたそうね。ネクリア。

ネ:!

ヒ:これは…私の本来の力。いつもは力を抑えるために、色を変えて抑えている。

ネ:なっ!?(今までのは…本気じゃなかった!?)

ヒ:グラン…私はあなたが好きです。だから…あなたを消します。

ネ:(ヒイカ…!)

グ:グラァァァ!

ヒ:『虹色の龍風!』

グ:グガァッ!

ヒ:『レインボーアロー!』

グ:グルッ!

ヒ:グラン…さよなら…!『レインボーフォール!!』

   ズドドドドドドドドドドドドン

 

 

 

 

 

 


グ:ここは…どこだろう…何もない空間…ヒイカは?ヒイカはどこにいるの?周りを見ても誰もいない。

   しーん

グ:何も聞こえない。…いや、耳を澄ませば…何か聞こえる?

   グズッ…

グ:泣いてる…誰かが泣いてる…泣いてるのは…誰?

ヒ:グラン!!

グ:!!

   グランは目を覚ました。

ヒ:グラン…

   目の前には、泣き顔のヒイカがいた。

グ:ヒイ…カ?

ヒ:グラン…ごめんなさい…

グ:どうして…謝るの?

ヒ:私は…あなたを攻撃した…あなたを傷つけた…

グ:(攻撃?…ああ、そういうことか。)僕は……やっぱり核の子なんだね。

ヒ:!

グ:ヒイカ、ネクリアたちも、少し離れてくれる?

ヒ:え?

ネ:どうして?

グ:いいから。

   ヒイカたちはグランから少し離れた。

グ:…『メルトダウン』

   ゴパッ

   グランは巨大な熱球を作り出した。

ヒ:グラン!?何をするつもりなの!?

グ:…僕なりのけじめだ。

ヒ:え?まさか…!

グ:やああああああああ!

   ドゴッ

   グランは熱球を自分に落とした。

ヒ:グラン!

   しゅぅぅぅぅ…

   グランの体は、徐々に消え出した。

ヒ:グラン!あんた何やってんのよ!

グ:僕が生きていたら…また核の子として暴走してしまう…その前に…消えるんだ…

ヒ:何言ってんのよ!また暴走したら…また私が止めてあげるから…!

グ:そんなのダメだよ。僕は…ヒイカに迷惑かけたくないんだ。

ヒ:ダメ!迷惑かけてよ!なんで?なんでそんなことしたの…!

グ:ごめんね。ヒイカ。でも…僕は僕の力でこれ以上ヒイカを傷つけたくないんだ。

ヒ:傷?こんなの痛くもないわよ!

グ:それだけじゃない…ヒイカは僕を攻撃すると、泣いてしまう。ヒイカの泣き顔なんて…みたくないんだ。

ヒ:ふざけてんじゃないわよ!あなたが死んだら…私はどうすればいいのよ…

グ:ヒイカは、まだ生きて…生きて、世界を支配するって夢を叶えて。

ヒ:あなた…知ってたの?

グ:うん。全部知ってるよ。ヒイカが虹の子なことも、ヒイカがどうして世界を支配しようとしてるのかも。

ヒ:どうして…?一体どこで?

グ:海岸で…ネクリアと話してたでしょ?あの時…全部聞いたんだ。

ヒ:!!

グ:ヒイカ。世界の支配だなんて、ばかげたことだと思ってた。でも…こんな僕を止めて町を救ったヒイカのすることに、間違いなんてないんだ。

ヒ:グラン…違うわ。私のしてることは間違いだらけ…正しいことなんてない…

ネ:ねぇグラン、あんたさ…自分が核の子だって知ってたの?

ヒ:え!?どういうこと!?

ネ:今あなた言ったわよね?「やっぱり核の子なんだ」って…

グ:…そうだよ。僕は元々わかってたんだ。昔から…知ってた。

ヒ:じゃあ、どうしてあの店に入ったのよ!危ないことくらいわかったでしょ!?

グ:あの店に何故か惹かれた。それは本当だよ。核の子だからかなって頭によぎった。でも…もしかしたら核の子として暴走しないようにできるかもって思ったんだ。

ネ:そうだったの…

グ:でも、結局は暴走して、ヒイカに迷惑をかけちゃった…ううん。ヒイカだけじゃない、皆に…

ヒ:グラン…

グ:ヒイカ…ぅっ!

ヒ:グラン!

ジ:…そろそろ限界のようですね。

ヒ:グラン!ダメ!まだ…まだ、約束果たしてないじゃない!

グ:約束…?

ヒ:一緒に…一緒に遊ぶんでしょ!?まだ遊んでないわよ!

グ:…あはは。ヒイカったら…

ヒ:何よ!

グ:もう…十分だよ。僕は、ヒイカといられて幸せだった。

ヒ:なっ!?

グ:ヒイカ…すk…

ヒ:待ちなさい!

グ:え?

ヒ:私より先に…言うんじゃないわ。

グ:え…?

ヒ:グラン…好き。

グ:ヒイカ…僕も、ヒイカのこと、大好きだよ。

ヒ:なんで…?なんで消えちゃうのよ…

グ:ごめんね。ヒイカ…

ヒ:私も…後を…

グ:馬鹿!!

ヒ:ひっ!

グ:ヒイカは…生きてよ…力を抑制できない僕と違って、ヒイカは最強の力をコントロールできる。だから…

ヒ:だから?

グ:だから生きて?僕の分まで…ずっとずっと生きて…。生きて、緋衣香の世界を見せてよ。

ヒ:私の…世界?

グ:皆が幸せになれる…世界を…

ヒ:でも…そんな…

グ:ヒイカ!…生きろ!!

ヒ:グラン…わかったわ…生きる…!

グ:……約束だよ。ヒイカ───

   グランは静かに消えていった。

ネ:ヒイカ…

ヒ:…行くわよ。ネクリア。ジャング。

ネ:行くって、どこへ?

ヒ:…決まってるでしょ?……世界を消すのよ。

ネ:……そうね。

 

 

 

                              続く

 

 

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2010年8月17日作成