005 虹の戦い

ネ:さーて、次の町についたわよー!

ヒ:なんであんただけそんなにテンション高いのよ。

ネ:いいじゃないの♪

グ:テンションなら僕も高いよ!

ヒ:あっそう。

ネ:というかヒイカがテンション低いだけなのよ。

グ:そーだそーだ!

ヒ:うるさいわねー。

ネ:ところでこの町はなんていう名前かしら?

   【トゥルースタウン】

ヒ:直訳。真実の町。

ネ:なんだかよさそうな町ねぇ。

ヒ:(…何だろう。この嫌な感じは?)

グ:あれ?そういえば町の人が外を歩いてないんだね。

ネ:そうねぇ。どうしたのかしら?

ヒ:2人とも。この町は早くでましょう。

ネ:え?どうして?

ヒ:嫌な感じがする。

ネ:そう。貴女が言うんだったらそうしましょう。

グ:えーっ!せめてご飯くらい食べてからにしようよー!

?:いたぞ!こいつらだ!

ネ:?

   バッ

   突然現れた人々が3人を囲んだ。

ネ:あんたたち。何か御用?

ストラス(以下ス):俺はストラス。嘘偽りがある者を調べる「幻影調査隊」隊長だ。

ネ:げ、げんえーちょう?

ス:「幻影調査隊」だ。この町は真実の町。嘘偽りがある者はすぐにわかる。

グ:嘘偽り?

ス:そこの。

ヒ:ん?

ス:お前、何か大罪を背負っているな?

ヒ:!!

ス:その反応…当たりらしいな。

グ:ヒイカに隠し事?何?何?

ネ:(大罪?もしかして、「あの国」のこと?)

ス:今すぐに大罪の全てを話し、自分の非を認め、償うか、それとも否定し我々の裁きを受けるか。選べ。

ネ:裁き?

ス:裁きを下すのが我々幻影調査隊の役目だ。さぁ、どうする?

ヒ:大罪があることがわかっても、別に真実を知ってるわけじゃないのね?

ス:だからこそ真実を話せということだ。

ヒ:悪いけど…見知らぬ者に自らの過去を話すつもりはないわ。

ス:そうか。ならば、この町全てを敵に回すと思え!

ヒ:残念だけどもうこの町に用はないわ。今すぐ出させてもらうわ。

ス:我々が逃がすとでも思うか?この幻影調査隊が!

ヒ:逃げれるわ。ネクリア!

ネ:人使いの荒い子ねぇ。

ヒ:全体技は持ってるかしら?

ネ:なくもないけど?

ヒ:グラン。

グ:え?何?

ヒ:後ろからついてきなさい。決して離れないこと。

グ:う、うん!

ヒ:久しぶりに燃えられそうね。さぁ…パーティの始まりよ♪

ネ:『金の鳥飛翔!』

   バババババババババ

   金色の大量の鳥が幻影調査隊に襲いかかった。

調査団員:うわー!なんだこれはー!?

ス:うろたえるな!こんなもの…切り刻んでやる!

   ズバッ

   ストラスは両手の鎌でネクリアの金の鳥を切り刻み始めた。

ネ:長くはもたなそうね。ヒイカ!

ヒ:ええ!『虹色の花束!』

   ズババババババババババババ

   虹色の花弁がヒイカの前方広範囲にカッターのように無数に飛んだ。

調査団員:いててててーっ!

ヒ:突っ込むわよ!

   ヒイカ、グラン、ネクリアは『虹色の花束』で空いた幻影調査隊のいない場所を駆け抜けた。

ス:逃がすな!大罪を認めるまで!

   3人の後ろから幻影調査隊が追いかけてきた。

ネ:まったく、ここはなんて町なんだか…

ヒ:だから早くでたかったのよー。

グ:ヒ、ヒイカ!あの鎌の奴、何かしそうだよ!

ヒ:何か?

ス:『空間斬り!』

   ズパッ

ヒ:止まって!

   ズドーン

   前方にあった家が斬り倒され、目の前に家の上半分が落ちてきた。

ヒ:随分ととんでもないことやらかす奴ねぇ。

ス:お前の大罪ほどではないはずだ。

ヒ:大罪大罪って…内容は知らないくせによく言えたものね。というより…そういうあなたも大罪を背負ってるんじゃない?

ス:ほぅ。よかろう。話してやる。たしかに俺にも大罪はある。だが、認め、償った。だからこそ堂々と話すことができる。

ヒ:どんな償いを受けたの?

ス:この幻影い調査隊隊長になり、嘘偽りを見抜き、新たな真実を見つけること。それが俺の償いだ。

ヒ:わっけわかんない。それってただの自己満足じゃない?

ス:なんだと?

幻影隊員:隊長になんという口の聞き方!また罪を増やしやがって!

ヒ:罪ねぇ…いいよ。だったらこうしよう。私とあんた、負けたら勝った方の言うことを聞く。どう?

ス:いいだろう。俺が勝った時には、お前の大罪を話してもらう。

ヒ:じゃあ私が勝ったら、すぐにでもこの町から3人とも出してもらえる?

ス:勝てると思うのならばな。

ヒ:まるでカマキリを巨大化させたような奴には負けないわ。

ス:言ってくれるな。

ヒ:本当のことでしょ?

ネ:ヒイカ。大丈夫なの?

ヒ:大丈夫よ。あんなのに負ける気がしないわ。

グ:ね、ねぇ…

ヒ:ん?

グ:ヒイカの背負ってる…大罪って…?

ヒ:…あなたは知らなくていい。

ス:では…いくぞ!『大鎌回転斬り!』

   ストラスは両手を広げて回転しながらつっこんできた。

ヒ:(単純ながら隙の少ない技ね。こういうのを突破するには、足場を崩す!)『虹色の龍風!』

   ゴォォォ

ス:!?

   ストラスの足元の地面を崩し、ストラスはバランスを崩した。

ヒ:もらった。『虹色の花束!』

   ババババババババババババ

ス:ちっ!

   ストラスは技を喰らったが、ほとんど効いてはいなかった。

ヒ:(姿は攻撃型に見えたから一撃当てれば楽になると思ったけど…どうやら防御型のようね。)

ス:ここからが本番だ!『分身の術!』

   ストラスは分身し、5匹になった。

ヒ:あ、いいわねそれ。是非とも欲しいわ。

ス:この技は身につける為に血も滲むような特訓を必要とする。お前のような子供が易々と身につけられる技ではない!

ヒ:それって結局残像なのかしら?どうなって分身しているの?

ス:目に錯覚を起こさせている。初期段階では残像だ。

ヒ:なるほど。初期段階では残像ね。

ス:では、フィニッシュだ!『大鎌回転斬り!』

   5匹のストラスが5つの方向から回転しながらつっこんできた。

ス:この技は避けられまい!

グ:ヒイカ!!

ネ:あれはちょっとまずいんじゃない!?

ヒ:これあんまり使いたくないんだけどね。『ファイブ・オブ・レインボー!』

   ビィィィィィィィィィィーーーーー

   ヒイカの周りから5つの虹色のレーザーが放たれた。

ス:ぐあぁぁぁぁぁ!

   5つのレーザーは全ストラスを貫いた。

ネ:やった!

グ:さすがヒイカ!

幻影隊員:隊長!

ス:強い…!

幻影隊員:隊長!我々も戦います!

ネ:だったら私が相手してアゲル!

ス:止まれ!

幻影隊員:え?

ス:これは決闘だ。邪魔はするな!

幻影隊員:しかし!

ス:黙れ!隊長命令だ!

ヒ:随分と熱い人ね。

ス:黙れ…今すぐに大罪を認めさせてやる!

ヒ:しつこいなぁ…

ス:これで終わりだ!『空間大鎌斬り!』

ヒ:そうね。終わりね。『レインボーフォール!』

   ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

ス:(な、なんだこの技は!?抑えきれん!!)

幻影隊員:隊長!!

ネ:終わったわね。

ス:うぉぉぉぉぉぉぉーーー!

   虹色の光線が滝のようにストラスに注ぎ込んだ。

グ:やったぁ!ヒイカの勝ちだ!

ス:く…この俺が…

ヒ:さぁて。じゃこの町を出ましょうか。

グ:そうだね!早く出よう!

   3人は町を出た。

?:ストラス。幻影調査隊隊長ともあろうお前がガキ一人に負けたのか?

ス:う…ダーズード様。

ダーズード(以下ダ):確かに…我がトゥルースタウンの地下にある、真実の鏡が映しだしたあの子供の力は相当なものだ。

ス:はい。特に最後に放ったあの虹の滝…手も足も出ませんでした。

ダ:虹?ああ。大罪を犯した者のことか。そちらではない。

ス:え?

ダ:もう一人だ。核の子供。

ス:核の子供?そんな子供いましたっけ?

ダ:鏡は映し出していたぞ。「恐ろしい大罪を犯すであろう核」とな。

 


                                     続く

 

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