004 虹色の謎

グ:青い空、青い海…海だー!

ヒ:うるさいわよ。

グ:でも海だよ海!久しぶりだなぁ…

ヒ:久しぶり?森を越えた隣町だから海にくることはたくさんあるでしょ?

グ:ううん。あの森は危険な森だから行くなって皆言ってるんだよ。

ヒ:その森を私たちの後ろから一人で歩いてきたのね。

グ:えへへ~。

ヒ:(へぇ。結構やるじゃない。)

ネ:さぁて。泳ぐわよ。

ヒ:は?

ネ:ヒイカもグランも着替えなさい♪

ヒ:着替えなんてないし、そもそも泳ぐ気なんてないんですけど。

ネ:じゃあそのまま泳いだら?びしょびしょに濡れた服で旅を進めることになるわよ~?

ヒ:だから泳がないっての。

ネ:でもグランはすでに準備できたみたいよ?

ヒ:はぁ?

グ:ヒイカ!ヒイカも早くー!

   グランは上着を脱いで泳ぐ気マンマンだった。

ネ:ほら。あなたも脱ぎなさいな♪

ヒ:強制わいせつ罪で警察に突き出すわよ。

ネ:あらこわーい♪

ヒ:そういうならアンタが脱いで泳げばいいじゃない。

ネ:え?そのつもりよ?

ヒ:(あーそうかい。人の目を気にしないタイプかい。)

ネ:そしたらヒイカを強制わいせつ罪で逮捕してもらわなきゃね♪

ヒ:女の子がどうしてそんなことするのかしら?

ネ:なによもぉぉーーう!ちょっとくらいかまってよーーー!

ヒ:うるさっ。

ネ:うるさいって何よー!

ヒ:泳いで来ればいいじゃないの!

ネ:こんな美人のお姉さんが泳いでたら男どもがほっとかないじゃない!

ヒ:どこにも人なんていないわよ!

ネ:あら、それはどうかしら!?

ヒ:あーもう!うるさい!

ネ:娘が反抗期…悲しいわ!

ヒ:誰が娘よ!

   結局、泳いだのはグランだけだった。

グ:ふぅ。楽しかったー!ねぇ。どうしてこなかったの…ってあれ?どうしたの?

ヒ:なんでもないわ。ここでよくわからない妄想で沈んでる奴なんて放っていきましょう。

ネ:はぁ…私の娘が反抗期だわ…

グ:?

   3人は海岸沿いを歩いた。

グ:みてみて!あれって鴨かなぁ?

ヒ:カモじゃなくてカモメよ。

グ:そうなんだぁ!

ヒ:かもがなんで海にいんのよ。

グ:それもそうだね!

ネ:へぇ~。ヒイカってけっこう物知りなのね。

グ:たしかに…僕と同い年くらいなのに、ヒイカっておばあちゃんみたいに物知りだよね。

ヒ:なっ…(この年でおばあちゃんって言われるなんて…)

ネ:(ざまぁないわー♪)

ヒ:(ネクリアでもぶっとばそうかしら?^^)

ネ:(な、なにかしらこの悪寒は…!?)

グ:?

ネ:あ!何やらおいしい香りがするわ!

グ:あれは…焼き鳥屋だ!!

ネ:いくわよー!

グ:おー!

ヒ:(気分乗らない…)

ネ:『木の根操縦!』

ヒ:っ…!またっ!

ネ:ほらほら連行しちゃうわよー♪

ヒ:(今度コイツを本気で潰してやるわ…!)

   焼き鳥屋

店員:へいらっしゃい!

ネ:ネギま10本!

グ:10本!?

店員:おっ?姉ちゃん。いきなりいくね~。

ネ:あ、ビールもある?グラスでね!

店員:おぉ!?いいねいいね~

グ:じゃあじゃあ、僕はつくねとレバーで!

店員:子供なのにレバーを食うとは偉いなー!よし!サービスしちゃうぞー!

グ:やったー!

   しばらく食べて

ネ:さて、そろそろいきましょうか。

グ:うん!

店員:勘定は2人一緒でいいな?

ネ:ええ。2人…え?2人?

グ:あれ?ヒイカは?

ネ:…まさか!

   2人は急いで外へでた。(ってか暖簾だけだけど。)

ネ:ちょぉぉ!?ヒイカ!?

グ:わわっ!大丈夫!?

ヒ:ネクリア…殺す…殺す…!

ネ:アンタ…『木の根操縦』をくらいっぱなしなら言いなさいよ!

ヒ:殺す…殺す…

グ:とりあえずおろしてよ!

ネ:え、ええ!

   おろした。

ネ:で?どうして言わなかったの?忘れてたじゃない。

ヒ:何回も叫んだわよ!!なのにあんたたちときたら焼き鳥に夢中に全然きづかないんだから!!本当に殺すわよ!!!

グ:ご、ごめんヒイカ…

ネ:ってか、あなた程の実力があれば、私の技なんて簡単に抜け出せるでしょう?この前みたいに…

   ぐぅぅぅ…

ヒ:……

グ:……

ネ:……

ヒ:なっ…何よ///

ネ:お腹空いてるから力出せないなんてあなたってときどきほんっっっっとに子供よねぇぇぇ♪♪

ヒ:殺す…ネクリア…!

ネ:あ、あらあら。まぁ焼き鳥でも食べなさい♪ほら。何がいいの?

ヒ:…皮。

ネ:皮10本!

店員:へい!

ネ:子供は素直でいなきゃね。いい子♪

ヒ:…ふん。

   ヒイカは結局、焼き鳥の皮を100本食べたのだった。

ネ:よくもまぁ皮だけ100本も食べれるものねぇ。

ヒ:皮が好きなんだからいいでしょ。

ネ:食べてて飽きないのかしら?

ヒ:飽きない。以上。

ネ:うわーお。

ヒ:あら?

ネ:?

ヒ:夕日…

グ:本当だ…夕日と海っていいよね。

ヒ:そうね。

ネ:ねぇヒイカ?

ヒ:何?

ネ:あなたは…色を奪う力がある。そうでしょう?

グ:色を奪う?どういうこと?

ヒ:…グラン。しばらく離れててもらえる?

グ:え?

ヒ:グラン。

グ:…わかったよ。

   グランは離れた場所に移動した。

ヒ:ネクリア。どこでそれを?

ネ:あなたに近づく前に調べてるのよ?あなたについてはかなり知ってるわ。

ヒ:そう。それで?その能力が何かしら?

ネ:あなたは、全てを支配するって言ったわよね?

ヒ:ええ。

ネ:それは…この綺麗な景色も奪うの?

ヒ:……

ネ:心を動かすこの景色まで消して…どうするの?

ヒ:そこからまた再生していくだけよ。

ネ:できるの?あなたの能力は、奪ったものは二度と戻せないんじゃないの?

ヒ:そうね。今の私には無理ね。

ネ:今の?どういうこと?

ヒ:わからないけど、自分で調べたの。この能力について。そしたら、戻せる方法があったの。

ネ:え!?虹の力の先にそんなものがあるの!?

ヒ:そうみたいね。でも、今というか…きっと私には無理な話。

ネ:どうして?

ヒ:その力に必要な条件は…私には到底手に入れられないもの。

ネ:それって…何なの?

ヒ:それは…

 

                                        続く

 

 

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