グ:おとうさーん!おかあさーん!
グラン父:おぉ。おかえりグラン。
グラン母:あら?その子は?
グ:えっとね、この子はヒイカだよ!
ヒ:初めまして。
ヒイカは愛想のない顔で挨拶した。
グ:ヒイカってね、すごいんだよ!お店にいた悪い奴らを一撃で倒したんだ!
グラン父:なんだって?
グ:すっごく強いの!
グラン父:そうかそうか。それは頼もしいな。
グラン母:さぁさぁ。玄関で話すのもなんだし、あがって。
ヒ:お邪魔します。
そのままリビングに向かった。
グ:でね、虹色の音符でどばーって悪い奴らを倒したんだ!
グラン父:それはすごいな!いったい、そんな力をどこで習ったんだい?
グラン母:きっとおうちがそういう家系なのよ!
グラン父:いやいや、きっと英才教育にきまってる!
ヒ:(…勢いできちゃったけど、どうしよう?)
グ:まってよ。ヒイカは力について話すのが嫌なんだよ。聞かないであげて。
グラン父:わかった。そういうことならもう聞かないよ。
グラン母:お父さんとお母さんは?帰ってこなくて心配してるんじゃないの?
ヒ:え…(どっちもいない…けど、そう言えば逃げられる。)そうですね。それじゃあそろそろ…
グ:ダメ!
ヒ:え?
グ:おうちに電話しようよ!そうして、ヒイカは今日泊まってもらう!
グラン母:グラン!そんなこと言っちゃいけません!ごめんなさいね。
ヒ:い、いえ…
グ:ダメなの!このまま帰っちゃうと、二度と会えない気がするんだもん!
グラン父:こらこら。わがまま言うんじゃないぞ。ちゃんとお友達にばいばい言って。
グ:いやだ!ヒイカはこのままだとどっか行っちゃう!
グラン母:だったら約束すればいいでしょう?また遊ぼうねって。ほら。
グ:うぅ…ヒイカ。また遊ぼうね?
ヒ:(まぁ、約束だけすればいいわよね。)いいわよ。またね。
グ:約束…だよ?
ヒ:ええ。
ヒイカは家を出た。
ヒ:ふぅ。今日中にこの町を出なきゃね。
?:うふふ。見つけた。虹の子。
ヒ:誰?
ネクリア(以下ネ):私は魔女ネクリア。虹の子がこの町にいるって聞いてね。
ヒ:誰に?
ネ:今日食堂で騒いだんですってね。虹色の音符で悪い奴を倒した子供がいるってね。
ヒ:それで、わざわざ探してたってこと?ずいぶん手間のかかることをしてたのね。
ネ:ねぇ。あなたの名前はヒイカなの?
ヒ:そうよ。
ネ:嘘ね。
ヒ:どうして?
ネ:言葉だけではわからないけど、本来のあなたの名前は…緋衣香。違う?
ヒ:…よく調べたものね。
ネ:これくらい容易いわ。大きな国を破壊した子の名前くらい知ってるわ。
ヒ:!
ネ:ねぇ。私と手を組まない?
ヒ:え?
ネ:あなたと私ならきっとこの世を支配できるわ!絶対に!だから組みましょう?
ヒ:断る。
ネ:随分と早い返答ね。どうして?
ヒ:私は、一人で全てを支配する。そして、捻くれた奴らを消し去るの。
ネ:そう。残念ね。だったら、あなたには消えてもらうわ。
ヒ:私を倒すつもり?そんなことできるとでも?
ネ:私はこの世を支配し、神になるのよ。仲間にならないなら早めに潰してあげるわ。
ヒ:可哀想に。勝てないとわかってても挑むのね。
ネ:勝てると思ってるから挑むのよ。いくわよ!
ヒ:まぁ、せいぜい生きがるがいいわ。
ネ:『月の光線』
ビィィィ-ン
ヒ:直線の攻撃なんて避けられるわ。『虹色の花束!』
ビュンビュンビュンビュン
ネ:これはっ!?
虹色に輝く大量の花弁がネクリアに向かって飛んでいく。
ネ:前方広範囲…ならば『火の山地獄!』
ゴォォォォォォッ
ネクリアは目の前に火柱をあげて防いだ。
ネ:まずは…動きを封じてあげる!『水の波踊り!』
バシャァァァ
ヒ:(水の鞭が2本…自在に動くから避けにくいわね。)
スッ
ヒイカが少し地面から浮いたその時
ネ:(かかった!)『木の根操縦!』
ズゴッ
地面から木の根がでてきた。
ヒ:しまっ…!
ガシッ
ヒイカは木の根に捕まった。
ヒ:う…!
ネ:ふふふ…手も足も封じられて動けないでしょ?さぁ、降参して私の仲間になりなさい?
ヒ:断る。
ネ:そう。いつまで強気でいられるかしら?
ギュゥゥゥ
ヒ:うっ!
ネ:その根はどんどんあなたを締め付ける。降参して仲間になるなら解いてアゲル。
ヒ:誰が…アンタの仲間になんか…
ネ:じゃあ、そのまま締め付けられて…死にな!
ギュゥゥゥゥゥ
ヒ:うあ…ああ…!
ネ:(虹の子…もっと強いと思ってたんだけど…買いかぶりすぎてたみたいね。)
ヒ:う…
ガクッ
ネ:あら?耐えきれずに気絶しちゃった?なんだかんだ言ってもまだまだ子供ってことかしら?
ネクリアがほんの一瞬気を緩めた。だが、その一瞬がネクリアにとって命とりとなった。
ヒ:『レインボーフォール』
ネ:なっ!?(こいつ、気絶してない!?)
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドッ
ネ:がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
虹色の光線が滝のようにネクリアに降り注いだ。
ネ:ぐ…お前…気絶しているように見せたな!?本当は…気絶などしていないのに!
ヒ:当たり前よ。あんな弱々しい攻撃で私が気絶するわけないわ。
ネ:く…この…!
ヒ:それよりあなた、面白い技を持ってるのね。
ネ:え?
ヒ:あなたの仲間にはならない。でも…あなたを私の手下にはしてあげる。
ネ:な!?
ヒ:力の差は歴然。あなたの本気は私の半分にも満たない力に負けた。
ネ:あれで半分に満たないですって!?
ヒ:私はあなたの知ってのとおり一夜で国を滅ぼした。そんな私とあなたの差くらい誰でもわかる。
ネ:く…この魔女ネクリア様より強い奴なんて…
ヒ:随分と自信過剰ね。悪くはないわ。でも、力の差を見極めて喧嘩を売ることね。
ネ:…いいでしょう。あなたの手下になってアゲル。でも、それはあなたの力を見極めるため。勝てると思えば勝負を挑むわ。
ヒ:いいわよ。簡単にねじ伏せてあげる。
グ:ヒイカ!
ヒ:グラン!?どうしてここに…?
グ:今の勝負、見てたよ!
ヒ:!!
グ:やっぱりヒイカは強いや!僕も、僕も弟子にしてください!
ヒ:断る。
グ:えぇっ!?そのおばさんはいいのに僕は駄目なの!?
ネ:おばっ!?
ヒ:あなたは弱い。それだけよ。
グ:そのおばさんだって弱かったじゃないか!
ヒ:ネクリアはこれから先役に立つ技を覚えてる。だからよ。
グ:僕だってそれくらいの技!
ヒ:うるさいわ。
グ:でも!
ヒ:黙りなさい!
グ:ひっ!
ヒ:目障りよ。さっさと消えなさい。
ヒイカとネクリアは静かに去って行った。
グ:ヒイ…カ…いっちゃ…いっちゃだめだぁぁー!
グランはその場で泣いた。
続く
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