001 虹の始まり

ヒイカ(以下ヒ):{私はヒイカ。何故か虹の力を持ち、そのせいで両親を殺されてしまった。}

 

ヒ:{そして今、なんかよくわからないことになっている。}


   食堂

男A:おい!この店のモンはどうしてこうもまずいのかねぇ!?

男B:まずくて食えたもんじゃねぇ!

店員A:も、申し訳ありません。

男A:こんなまずいメシに金払えってーのか!?アァ!?

店員A:ひぃぃ!

ヒ:(さっきはおいしそうに食べてたくせに…随分と曲がった奴ね。)

店長:申し訳ありません!今日のところはおお代は結構ですので、お帰りください。

男A:はっ!当然だろ?

男B:むしろタダ権でもくれねーかなぁ?次回はちゃんとしたメシ作りますっていう証拠にな!ハッハッハ!

男A:そりゃいーぜ!

ヒ:(さて、旅の続きでもしようかな。)

   ヒイカは静かにレジへ向かった。

男A:おいおいお嬢ちゃんよぉ、ここのメシはタダなんだぜ?金なんか払わなくてもいいってよ!

男B:どうせまずいメシだったんだ。金を貰いたいくらいだぜ!

ヒ:…

   ヒイカはお金を置き、店を出ようとした。

男A:お嬢ちゃん?シカトはよくないぞ?

   男Aはヒイカの肩を思いっきりつかんで引き寄せた。

ヒ:っ…!

男A:お金はタダなんだよ?せっかくおにーさんたちが教えてあげてるのに、無視はよくないよ?

ヒ:…教えてくれてありがとうございます。それじゃ。

男B:おいガキ。俺達をナメてんのか?

ヒ:…いいえ?

店長:お、おやめください!相手は子供です!

男B:てめぇは黙ってな!

店長:ひぃぃ!

男B:なぁ嬢ちゃん。年上の言うことは素直に聞いたほうが長生きできるぜ?それともなんだ?俺達と遊ぶか?ハハッ!

男A:お前いつからそんな趣味が?相手はただのガキだろ?

男B:ガキでも飼いならしときゃ大人になった時に俺達のモンにできるってもんよ!

ヒ:…はぁ。

男B:アァ?てめぇ今溜息つきやがったな?

ヒ:つきましたけど何か?

男B:お前ちょっと生意気すぎるな。ちょっくら大人のオキテを教えてやるよ!

店長:あぁ!!やめてください!

ヒ:『虹色の五線譜!』

   ドカカカカカカカカ

男A,B:ぐわぁぁぁぁ!

   虹色の音符が男たちを倒した。

店員A:す、すごい…

客A:おー!すげーぞ!

客B:お嬢ちゃんやるー!

客C:おーおー!

ヒ:…ふん。

   ヒイカはその場を立ち去った。ヒイカにとって今のような目立つ行為は嫌いなのだ。

?:まって!

   誰かがヒイカを呼びとめたが、ヒイカは気付かなかった。

?:まってって!

   ガシッ

   ヒイカの肩に手を当てた。

ヒ:?

   ヒイカが振り向くと、ヒイカと同い年くらいの男の子がいた。

?:君、強いんだね!尊敬するよ!

ヒ:…あっそう。

?:だって僕、弱くて力が全然ないんだ。だから、尊敬するよ!

ヒ:そう。ありがと。じゃあね。

?:あぁっ!まってよ!

ヒ:何よ。

?:君、なんていうの?

ヒ:ヒイカよ。

?:ヒイカだね?僕はグラン!よろしくね!

ヒ:(よろしくした覚えはないわね。ってかなんでいきなり呼び捨てなのよ。)

グラン(以下グ):ねぇヒイカ。その力ってどうやって手に入れたの?

ヒ:なんで教えないといけないのよ。

グ:え~。そんな意地悪しないでよ。ね?教えてー!

ヒ:うるさいわね!私だって欲しくて手に入れたわけじゃないんだから!ほっといてよ!

グ:な、何もそこまで怒らなくても…

ヒ:いいから、私には関わらないで。

グ:そんなぁ…でも、すごいと思うよ?あの能力さえあれば、どんな人も救えると思うのに…

ヒ:グラン。いいこと?力はただ強いだけじゃダメなの。ただ強いだけだと、ただの暴力なの。

グ:でも、さっきヒイカがしたことはいいことでしょ?暴力なんかじゃ…

ヒ:暴力よ。

グ:え…?

ヒ:ただ力でねじ伏せただけ。それ以外のなんでもないわ。

グ:そんなこと…

ヒ:わかったら早く私から離れなさい。私と話したってつまらないだけよ。

グ:そ、そうかな?

ヒ:え?

グ:僕、ヒイカと話しててすっごく楽しいよ?

ヒ:嘘おっしゃい。

グ:嘘じゃないよ!本当に楽しいんだ!もっと…もっとヒイカのことが知りたいんだよ!

ヒ:…あなた、変わり者って言われない?

グ:変わり者でもいいよ!だから僕たち、友達にならない?

ヒ:とも…だち?

グ:うん!

ヒ:{そう、今更後悔したって遅い。あの時…どうして友達になってしまったんだろう?}

 

ヒ:{友達にさえならなければ、あんなことにはならなかったのに…}

 

                                 続く

 

 

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